『総理経験者だろうが物申す 野口健 清掃登山』311 日本空手道建武館 篠田剛

2012-06-18

登山では、勇気ある撤退、という言葉をよく聞きます。
ところが日本においては途中で引き返すことは
「失敗」とみなされてしまいます。
引き返そうものなら、こてんこてんに叩かれてしまうのです。

なので、日本の登山隊は、悪天候でも撤退の道を選べなくなり、
無理をしてでも進んでしまいます。

無理をするので体力も精神力も限界となり、
最悪の結果、死を迎えることも起こりうるのです。

そういう状況では1本6kgもある酸素ボンベがじゃまになる。
だから、空になった酸素ボンベは捨ててしまうんです。
ヨーロッパ隊などに比べて日本隊のゴミが多いのは、
そんな背景があるからです。

山岳協会としてもゴミ問題はわかっているのです。
ところがさっきのような日本の風潮が足かせとなってじゃまをして、
改革できません。

それに、これまで正面切って言う者がいなかったので、
目をつぶっていました。
そんな中で、野口さんが正面切ったわけです。

野口さんの言うことは正論なだけに、
山岳協会の人たちには手に負えません。

そしてついに山岳会のドン、
橋本龍太郎が事態収束に動き出しました。
一通の手紙を野口さんに送ります。

その手紙には、ゴミがあったおかげで命拾いした経験がある、
ということが書いてありました。
つまり、ゴミは役立つこともある。
だからもうそれ以上言うな、ということです。

総理経験者に睨まれてしまったんですね。
強烈な圧力です。
常識でいえばもう降参です。

ところが野口さん、
降参するどころか“この野郎!”と思ったそうです。
ついに橋本龍太郎を立ててつぶしに来たな、と。

この手紙でまたもや野口さんの闘争心がメラメラと燃え始めました。
総理大臣だろうがなんだろうが関係ないんですね、この人には。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日発信していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■私は空手の指導で役に立つ財団法人日本体育協会公認上級指導員の資格を取得、また介護予防サポーター、こころの健康サポーターの講習を受けて道場生の体と心のケアに努めています。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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