『やるからには一番を目指せ』224 日本空手道建武館 篠田剛

2012-03-16

どんなこともやるからには一番を目指せ。
学校の先生になるなら日本一の先生に。
ヤクザになるなら日本一のヤクザに。


ガキの頃、おやじからそう教わりました。
どうして?
その真意を聞かないうちにおやじは死んでしまいました。

その後、空手を稽古して強くなっていくうちに、
自分に自信がついてきました。
すると「一番」になれといったのは、
こういう意味だったのかなと思い始めました。

それは…

何度くじけそうになっても、
そのたびに踏ん張って耐えぬかないと一番になれない。
「絶対に一番になってやる」というのと
「別に二番でもいいや」というのでは意気込みがまるで違う。
一番になろうと思えば踏ん張れる。
踏ん張れば自信がつく。
この自信がいずれ社会に出たとき宝になる。
だからこその「一番」なんだ。…

時が経って指導する立場になった私も
「一番になろう」と話すようになりました。

やがて私に子供ができると考え方も親目線になって、
次の話も付け足すようになりました。

「いつもみんなに『試合に出るからには勝て』というよな。
さっきの話でわかるように試合で勝てというのはそのため。
だけど勝てばいいのか?
強ければそれでいいのか?
そんなの本当の強さじゃない。
もし友達が目の前で万引きをしていたら止めることができるか?
中学、高校に行くと不良連中とも付き合うこともある。
たばこ、シンナー、麻薬、覚せい剤、そして売春…。
お前たちは断固として『やめろ』と言えるか?
それが本当の勇気だよ。
本当の強さだよ。
これが“一番”になるための本当の理由なんだぞ」

だけど、おやじの本意は、
それだけではないんじゃないかと思うようになりました。
もしかしたらおやじはこういうことも言わんとしたんじゃないか。

つまり…。

どんなこともやるからには一番を目指せ。
与えられた仕事が例えば便所掃除のような下っ端の仕事でも、
くさらずやれ。
文句を言わずに工夫をこらせ。
どうせやるからには日本一の便所掃除をしろ。
そうすれば上司はお前を放っておかない。
こいつは便所掃除させておくのはもったいないと思って、
もっと上の仕事をさせるようになるものだ。…

社会に放り出されても生きていけるように。
子を思う親心というものも「一番」の言葉に、
含まれていたんだろうなと思えてきたのでした。

強くなれ!強くなれ!
それ以来、子供たちに言う“強くなれ!”の言葉にも、
さらに自信と迫力がつくようになりました。

追伸
冒頭にある「日本一のヤクザに」という言い回しで実際おやじは使いました。しかし誤解のないように言っておきますが、おやじは弱者を切り捨てるようなヤクザは大嫌いでした。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日掲載していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■板橋税務署の近くで目にとまる“ガマン売ります”のポスター。そう、建武館はガマンを標榜しています。■今、必要なのは弱者へのやさしさです。損をしても正しいことをする正義感です。
■道場生に伝えたい“技は心に応ず”“拳足は警策なり”。
■これからの社会の在り方として建武館が投げかける大事なメッセージ“よその子もうちの子”。
■建武館はK-1戦士を生んだ板橋初の道場です。空手道場というと、とても怖くて敷居が高いイメージですが、入ってみると意外にそうでないことがわかります。小さい子から壮年まで、初心者からアスリートまで、すべての人がそれぞれの目的を達成できるよう考えられた道場なのです。
■建武館では空手やキックボクシングはもちろん、3歳から始められる空手運動クラス、女性でも気軽にできるソフトキック、60歳からのアンチエイジングトレーニング、自主トレーニングコースも常設しています。
■空手の個別指導もしています。マンツーマンでじっくりやりたい方はお気軽にご相談ください。さらに、ご自宅や企業のサークル・研修会・各種イベントなど道場以外でも空手を楽しんでいただけるように出張指導もしています。道場まで通えない方や、企業イベントなどの福利厚生、クラブ活動などにご依頼ください。
■平日はどうしても時間がとれない方は、東武東上線・大山駅にある「コナミスポーツクラブ大山」にお越しください。都営三田線・高島平方面にお住いの方は、新河岸にある「わかたけ第2保育園」にどうぞ。
■私は空手の指導で役に立つ財団法人日本体育協会公認上級指導員の資格を取得、また介護予防サポーター、こころの健康サポーターの講習を受けて道場生の体と心のケアに努めています。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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