女性の護身術が流行っていますが、テクニックだけ覚えてもいざというとき役に立ちません。
今は平和で安全に守られてすぎていて身に危険を感じ取る感覚が鈍っています。
暗い裏通りを歩いたら危ないなとか、
ひったくりに遭わないためにバッグは建物側に持とう、
など危険を感じ取る力こそ覚えることが大切です。
駅のホームで白線の外側に不注意に立っている人を見かけます。
後ろから押されでもしたら落ちてしまうだろうと、他人事ながら心配します。
朝の走り込みでよく思うことですが、
遠く前方をこちらに向かってうつむいて歩いている人は、
おそらく私がすれ違う瞬間びくっとするだろうなとか、
交番のおまわりさんは、書類に目を通しているのだろう下を向いて私と視線が合わないけれど、
もし泥棒が走り去ったら気づくのかなとか、くだらないことを考えながら走っています。
組手で相手の動きに敏感に反応する稽古を続けていると、
ちょっとした動きでどんな技が飛び出してくるのか予測できるようになります。
初心者は相手の動きに敏感すぎてフェイントに対しても驚いて反応してしまいますが、
慣れてくると徐々に心が安定してきて実際の攻撃のみに反応するようになれます。
つまり、何が危険で何が危険でないか判断できるようになって、
本能的な直観力が研かれていくようです。
放っておけば鈍る直観力を、稽古で呼び覚まします。
建武館 篠田 剛
2010-10-20