2010-09-29
私の幼い頃のお話をします。
みなさんご存知の孔子は論語の中で、
「義を見てせざるは勇なきなり」
と言っています。
『人間として当然しなければならないことを目の前にして、それをしないのは勇気がないというものだ。それが正しいと思ったら、ためらうことなくやりなさい。』
ということでしょうか。
勇気は正義のために使われるものであって、
つまり、勇気とは正義を行うことなのだと言えます。
そこで思い起こすのが、
平成19年東武東上線ときわ台駅で線路内に入った女性を助けようとして電車にはねられて殉職した宮本邦彦警部のとった行動です。
こういう行動を
「凄い…」
と身震いするほど感銘するのは、私の父の教育が根底にあったからだと思います。父からの教えは「自己犠牲の精神」が多かったと記憶しています。よく思い出すのが
いいか剛…
人に迷惑をかけるなよ
損得なんて考えるな
人情を持て
弱い人には味方しろ
正義を貫く心の強さを持て
と熱っぽく語ってくれたことです。そして、強いだけでなく優しさや思い遣りがなければだめだと諭されました。
とはいえ幼い頃の私は引っ込み思案で気が弱く、人を助けたくても助けられずいつも内心は忸怩たるものがありました。
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※『おれの半生』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。