『受験シーズンが来ると思い出す』186 人生、カッコよく 日本空手道建武館 篠田剛

2012-01-18

受験シーズンが始まりました。
受験と聞いて思い出すのが、高校2、3年で同じクラスの同級生。

彼はまじめな優等生でした。
物静かで、授業で発言する以外は、
あまり声を聞いたことがありませんでした。

体育の授業では、見るからに運動神経が鈍そうに、
ペタペタと走っていました。
失礼な言い方ですが“もやしっ子”のように、
青白く弱々しい印象でした。

3年生になった頃でしょうか。
彼が最寄駅から学校までの道のりを走る姿がありました。

クラスの中でそのことがちょっとした話題になっていました。
誰かが彼に、何で走るようになったのかを聞きました。

彼の答えは、大学受験に備えた「体力作り」ということでした。
受験に備え、気力を充実させるためにも体力が必要と考えたようです。

それから彼は毎日欠かさず走りました。もちろん帰りもです。
雨の日も、風の日も。
夏の暑い日はワイシャツがびっしょりになりながら、
教室に入ってきました。

秋、運動会の季節になりました。
各種目のクラス代表を決める話し合いをすることになりました。

1,500m走だったでしょうか。
誰も面倒くさがって引き受ける者がいません。
誰かが手を挙げて言いました。「○○君がいいんじゃないか?」。
彼を推薦したのでした。

教室は「おぉ…」。
運動にはまるで縁がない、思いも寄らぬ人間の名前が出てきたので、
みな一様に驚きました。

ところがその後にみな、
うんうん、それはいいとうなずき始めました。
それは運動オンチを嘲笑するのではなく、
純粋に彼の努力に敬意を込めたものでした。

彼は控え目な人間だから、みんなが注目する代表選手など、
断るだろうなと心の中で思っていました。
ところがそう思いきや、彼は引き受けました。びっくりでした。

迎えた運動会。
彼は我がクラスの1,500m走の代表選手として走り抜きました。

もしかしたら、私より持久力がついていたかもしれません。
それほど、その姿はとても凛々しく見えました。

彼は1年間ずっと走り続けました。
一度決めたことを最後までつらぬき通しました。

私が強く印象に残っているのは、
推薦された時に気後れしておどおどすることがなかったことです。
今思うと、彼は体力だけでなく、
自信と、何事に対しても臆さない強靭な心をも身に付けたのでしょう。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■板橋税務署の近くで目にとまる“ガマン売ります”のポスター。そう、建武館はガマンを標榜しています。今、必要なのは弱者へのやさしさです。損をしても正しいことをする正義感です。
■“技は心に応ず”“拳足は警策”も心構えとしてなくてはなりません。“よその子もうちの子”はこれからの社会の在り方として建武館が投げかける大事なメッセージです。
■建武館はK-1戦士を生んだ板橋初の道場です。空手道場というと、とても怖くて敷居が高いイメージですが、入ってみると意外にそうでないことがわかります。小さい子から壮年まで、初心者からアスリートまで、すべての人がそれぞれの目的を達成できるよう考えられた道場なのです。
■建武館では空手やキックボクシングはもちろん、3歳から始められる空手運動クラス、女性でも気軽にできるソフトキック、60歳からのアンチエイジングトレーニング、自主トレーニングコースも常設しています。
■空手の個別指導もしています。マンツーマンでじっくりやりたい方はお気軽にご相談ください。さらに、ご自宅や企業のサークル・研修会・各種イベントなど道場以外でも空手を楽しんでいただけるように出張指導もしています。道場まで通えない方や、企業イベントなどの福利厚生、クラブ活動などにご依頼ください。
■平日はどうしても時間がとれない方は、東武東上線・大山駅にある「コナミスポーツクラブ大山」にお越しください。都営三田線・高島平方面にお住いの方は、新河岸にある「わかたけ第2保育園」にどうぞ。
■私は空手の指導で役に立つ財団法人日本体育協会公認上級指導員の資格を取得、また介護予防サポーター、こころの健康サポーターの講習を受けて道場生の体と心のケアに努めています。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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