2011-12-02
ずいぶん昔の話です。
同じ町に肢体が不自由な人がいました。
我々悪たれ小僧たちはそっとその人に近づいて
「びっこジジイ!」と叫んで逃げました。
その人はこのやろうっとばかりに、
足を引きずりながら追いかけてきます。
その逃げるスリルが楽しくて、毎日のようにやっていました。
悪ふざけにも程があります。
ふざけという甘いものではありませんね。
大きな問題となったはずです。
ところがまったく問題にはなりませんでした。
と言いますか、当のご本人が問題にしていなかったのです。
確かに、心の中では複雑な思いもあったことでしょう。
しかし、まるでお遊びをしているつもりで接してくれました。
夏の頃は、捕まえたカマキリを虫かごにいっぱい詰めて自宅まで持ってきてくれました。
心優しい人でした。
とても大らかな心の持ち主でした。
だからこそ、なのでしょうが、
少し大きくなって思い出すと申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
今は、些細なことでも問題にします。
目くじらを立てて自分の正論を振りかざします。
一方的にまくし立てられた側は、素直な気持ちになれなくなります。
北風と太陽の教訓にもあてはまりますよね。
冷たく厳しい態度で人を動かそうとしても、かえって人は頑なになる。
しかし、暖かく優しい言葉を掛けたり、態度を示したりすことによって
初めて人は心を動かす、と(Wikipedia参照・編集)。
あの人のような大らかな心をもってすれば、人は素直な気持ちになれる。
きっと世の中はうまくいく。
やがて円やかで明るい世の中になれると、心の底から思っています。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員
介護予防サポーター こころの健康サポーター
板橋区にある地元密着の空手道場で“ガマンを売る空手家”
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。