空手を教え始めて間もない頃は、殴られると、怒るか痛くて泣き出す子がいて頭を痛めたものです。しかし、稽古を重ねるうちにガマンできるようになってきました。
それは、単に痛みに慣れたというだけでなく、当てられるのは、自分の防御技術が劣っているせいだと謙虚に受け止め寛容になれるからのようです。
空手の稽古は苦しいものです。球技スポーツのようなおもしろさはありません。直接打撃なのですから楽なはずはありません。肉体的な苦しさは相当なものです。
ただ、その苦しさを経験することによって “自分の弱さ” を知ることができるようになったことは、とてもラッキーでした。
人は、自分が経験しないものは、なかなか理解できません。たとえばイジメのような、精神的な痛みも同じで、自分が学校(職場)でイジメに遭って初めて、自分と同じような立場に置かれている人の気持ちが理解できるようになります。
自分の弱さを知ることで相手の気持ちがわかる。人情の機微を解せるようになるには、相応の忍耐と経験が必要なのでしょう。
ガマンより楽を求め、自分勝手で思い遣りに欠けるような子であったとしても、このような経験をすることでガマンや思い遣りの大切さを知り、人間的に成長していくものと確信しています。
建武館 篠田 剛
2010-10-11