『大震災に思う5 足るを知るという鎮魂』65

2012-03-11

東日本大震災の発生から1年。

あの日、わが子のことがどんなに心配だったか。
無事を知ったときの安堵感。
あの感情は忘れられません。

生きてくれているだけで嬉しかった。
生きているだけで幸せでした。


ある被災地でのこと。
食べ物は、市が提供したお粥とたくあんだけ。
それも1日1食でした。
おにぎり1個を3つに分けて配っているところもありました。
それでも必死にしがみついて生きていました。

1年が経った今、しかるに私たちはどうでしょう。
食べものには事足りているのに何か不満足です。
不平、不満、腹を立て、いつもいら立っています。
どうしてなんでしょう。

それは“いかに楽をするか”ということばかり考えているからなんです。
我々は。
楽でないから腹を立てるんです。

でもそれは、有り余る豊かさの中にいるときの話です。
被災地でそんなこと言っていられますか。
豊かすぎることがいかにいけないことか。
いかに身勝手な人間にさせるか。

足るを知る

お釈迦様は教えてくれました。
ほどほどに、と。

生きていることに感謝しよう。
あの日の夜、子供の寝顔に頬ずりして
“こいつら無事でよかった”
と思いました。
その感情をずっと持ち続けていく。

これが鎮魂。

犠牲となった人に、家族に、せめても、私たちができる弔いです。
心の底で、祈ります。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
■板橋税務署の近くで目にとまる“ガマン売ります”のポスター。そう、建武館はガマンを標榜しています。

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※『時局放談』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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