『四十の手習い』54

2011-04-25

どんなことに戸惑ったのか。
それは、手加減、力加減です。
そして、殴る・蹴るときの感情です。

どのくらいの強さが“適当”なのか?
“負けるもんか”で終始させていいのか?

先輩が、負けるもんか!コノヤロウ!と、
後輩に打ち込んで終わらせるとします。

いい稽古になりましたと喜んで帰る者は、
まれにはいますが、ほとんどは脱落してしまいます。

打ち込んだ拳に、こいつのためにという愛情が籠っていなければ、
悪感情が残ってしまうだけだからです。

愛情があれば結構強く蹴っ飛ばされて足を引きずって帰っても、
また稽古に来ようと思うものです。
このように、加減と感情には密接な関係があるのですね。

私は一般部での稽古を通じて-40歳の手前でしたが-
この加減や感情を貪欲に吸収していきました。

ガツンとやられて
「いい稽古になりました」と喜んで帰る者を増やすことを心がけよう。

そんな彼らが増えるということは、
加減と感情の絶妙なバランスがとれている証拠だからです。
また、先輩と後輩が切磋琢磨する良好な間柄である証だからです。

私は、四十の手習い…遅ればせながら、
徐々に技術と精神を体に染み込ませていったのでした。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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