『新年に思う』 39

2011-01-02

空手で飯を食う。
こういうと、商売だとか、金儲けだとか言われそうです。

金銭を得るために空手を使うのは不道徳だ、
ボランティア精神に徹するべきだという人がいるかもしれません。
しかし何をもってボランティアと言うのでしょう。

有償・無償の別ではなく
人のために何かをしてあげたいと純粋に思う心の強さ
これを尺度にすべきと、私は思います。

そういう尺度があれば、正当な対価として会費を受け取ることに、
ためらいを感じなくてよいのです。

空手を仕事にすることは子どもの頃からの大きな夢なのです。
富を求めるものでは決してありません。
しかし貧乏に安んじていても、生活ができなくなれば、
教えることも、大好きな空手さえもできなくなるのです。

公立学校の体育館はボランティアならば、
借りて子ども達に教えることができます。
熱意ある人は仕事をやりくりして時間調整して教えに来ます。
しかしあくまでボランティアですので、
勤務先が不況でリストラにでもなれば、
自分の生活が精一杯で教えることもできず、
その道場は解散となってしまうでしょう。

空手に限らず、柔道、剣道、合気道、少林寺拳法、なぎなた…。
その先生や指導員の情熱と責任感に支えられて、
今日までやってこられました。

しかしそれだけに頼るのには限界があります。
であるからこそ、自治体はぜひ、
景気に左右されない環境作りを支援してほしいのです。

例えば、青少年の健全な育成に必要な事業には、
公立学校の体育館使用規定を見直し、
無料もしくは最小限の料金で借りることができるようにする、
体育館を使用する際には正当な対価として、
月会費を受け取ってよいことにする、などです。

一日も早く、町道場や指導に携わる者が、
歯を食いしばって頑張っていることが認知され、評価されるよう、
これからも努力していきたいと思います。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。
 

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