2012-09-23
非行に走る中・高校生。
彼らと“語り明かす”ことで更生させようとする夜回り先生。
薬ではなく愛情で治そうとしたのでした。
シンナー遊びで依存症となった少年を引き取った夜回り先生。
もうやめると昨日した約束を、今日すぐに破ってしまう少年。
でも先生は許しました。
昨日までのことは気にしなくていいんだよ、
と優しく包み込んであげました。
夜回り先生はそれまで何度、少年たちを許してきただろうか。
ある日、シンナーに手を出してしまう少年から、
「ここにいても治らないから施設に行く」
そう言われてしまいました。
いつもなら優しく包む先生。
しかしこの時だけは冷たくあたってしまいました。
その子はとてもショックを受けてしまいました。
そして、自ら命を絶ってしまったのです。
ああ、あの時、抱きしめてあげる心の余裕があれば…。
先生は悔やんだことでしょう。
病気を愛情で治そうなんて…俺はみくびった。
そう言って自分を追いつめたことでしょう。
だけれど、これまで何人の子供たちが、
先生の言葉に助けられたことか。
一部の報道批判があるとしても、しかしそれは批判に過ぎない。
この舞台は悔恨の物語でした。
少年を死なせてしまったという悔恨の情を感じました。
舞台では施設の長に、自分を責める先生に、
このように言わしています。
「私は骨になるまで十字架を下ろしません。
だから先生を辞めないでください」
世の中は今、許すということが足りません。
許す勇気を持たなければ彼らの自立は困難になります。
夜回り先生、水谷修さんは、それに立ち向かっているのでしょう。
子供たちに「死ぬことだけは、だめだぞ」
というメッセージを添えて。
篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
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※『ひと・もの・こと』は、2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものです。したがって、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。