■おやじ組手で子どもと共感
表彰式前に行う『おやじ組手』もまた、キッズ大会の意義を深くしています。おやじ組手は親子で習う親が組手の演武をするものです。
演武といってもかっこいいものではありません。どちらかというと“無様な姿をみせよう”という言い方のほうが、正しいのかもしれません。
子ども達は何カ月もの間、キッズ大会のため組手ばかりやらされて、つらい思いをしています。殴られたり蹴られたりして、否応なく“無様な姿”となります。
そんなとき、励ますことができるのが、おやじ達です。このキッズの会場で、おやじ達が“無様な姿”をさらけ出します。わが子の前でガツン!ドスン!とやられます。そんなとき、“お前もつらいよな、わかるよその気持ち…”そう理解をしてあげるだけでなく、“だけどそれを乗り越えて頑張ろうぜ、俺も頑張るからよ!”
自分も痛みを知っているだけに、とても子どもの気持ちがわかります。共感できます。そして、だけど頑張ろうな、って、心の底から背中を押してあげられます。
なんといってもおやじ達の、痛みに耐えるところがまたいい。おもしろい。そして、痛いはずなのに顔は爽やかな笑顔で、 “な、空手っていいだろ!”とても説得力があるわけですね。
建武館のキッズ大会って、そんな感じです。これからも技の覇を競り合うだけの大会にしません。大事な何かを学び取れる大会にしたいなと思っています。
日本空手道建武館
館長 篠田 剛