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空手のこころ

『大相撲 たとえ誤審でもうろたえない 抑制の美学』286 日本空手道建武館 篠田剛

2012-08-30

栃乃洋改め、竹縄親方の襲名披露大相撲、断髪式。
9月29日に両国国技館で行われますので、
栃乃洋ファンはぜひお越しください。

さて、大相撲といえば日本の国技。
断髪式があるのも国技ならではと言えるでしょう。

その国技の国技たる所以の一つに、
「抑制の美学」というのが挙げられます。
この言葉は相撲ジャーナリストの杉山邦博さんが述べられました。

昭和44年(1969年)、
これぞ抑制の美学といえる行動をしたのが横綱大鵬です。
それは大阪場所の戸田戦でのことでした。

大接戦の末に軍配は戸田に上がり、
この瞬間、大鵬の連勝記録は45で止まりました。
ところがビデオで確認すると大鵬の足はまだ土俵に残っています。
明らかな誤審だというのがすぐにわかりました。

報道陣は同情しました。
そして支度部屋に戻った大鵬に「横綱は勝っていた」と言いました。

この報道陣の言葉を聞いて返した大鵬のことばがカッコいい。
「横綱が物言いのつく相撲を取ってはいけない。自分が悪い」と、
述べたそうです。

連勝記録もかかっているからなおさら、
心の中では腹立たしい気持ちだったでしょう。
だけど、そういう感情を大鵬はぐっとこらえました。

人が審判を下すのだから100%はあり得ない。
それはわかるのですが、ところが、
明らかな誤審であっても不服としませんでした。

大鵬の行動は、自己抑制をすることが、
人間形成につながるという考えがあったのだと思います。
だから正しい形で礼をして、
潔く振る舞い慌てふためかないしぐさをよしとしたのではないか。

それに加えて、土俵は、
神がいる場所だからという考えが根底にあるのだとも思います。

勝ってガッツポーズをとったり負けて悔し涙を流したりするのも、
人間味があっていい。
だけどその一方、大相撲のような抑制の美学もまた、
残しておくべきものなのです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日発信していますので宜しければ明日もまた読んでみてください。

篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
カッコ悪さをさらけ出せる奴がカッコいい
■建武館では空手やキックボクシングはもちろん、3歳から始められる空手運動クラス、女性でも気軽にできるソフトキック、60歳からのアンチエイジングトレーニング、自主トレーニングコースも常設しています。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

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