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空手のこころ

『私の兄、そして建武館のはじまり』 1

2010-09-28

昭和57年、兄が大学2年の時に父親が病死。父は事業をしていましたが当時で数億という莫大な借金を抱えていました。好むと好まざるとにかかわらず事業を引き継がざるを得ずという状況でした。

待ち受けていたのは、抱えた借金をどう返済するかという厳しい現実でした。しかしそれよりも辛かったのはリストラの断行や幹部の裏切り。それは、人間不信に陥るほどの辛い経験でした。

会社と同時に兄は道場も継承しました。当時はいわゆる伝統派の空手でした。ここには学ぶべきものがたくさんありましたが、兄は追い求める何かを夢中で探していました。

そんなある日、知人の紹介でキックボクシング小国ジムの斉藤会長と出会います。激しい練習風景を目の当たりにして、これはキックを避けて通るわけにはいかない。そう。キックへの挑戦のはじまりです。

キックは立ち技の中では最強だ。その最強の技でもって打たれれば痛みは強烈である。その痛みを感じることで沸き起こる、攻撃されることの恐怖心。これを克服すること、つまり自分の弱い心と戦うことが大事なのではないか。

兄は事業継承で学んだ、どんな厳しい状況でも逃げずに立ち向かう心の大事さ。これを学ぶために、また、人間を作る手段として、ならばキックボクシングの技を取り入れよう。

このようにして建武館空手が生まれました。ここが建武館空手は空手であって空手ではなく人生修業のための空手である所以です。兄は自らの手で一から道場を作り、心通うメンバーと共に生きようと決心したのです。

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『何のための稽古か』 2

2010-10-03

私たちは、他人の目に余る行為を指摘すべきと思いながらも、
指摘できないジレンマを感じることがあります。

なぜ指摘できないか。

それは、反論されたり暴力をふるわれたりするかもしれないと
思うからです。

“恐れているようでは何もできやしない。
普段格好良いこと言っているのに、
いざという時に本当の勇気をもった行動ができるのか”。

その答えを出すためにも、日々稽古に励んで、
正義を貫き通す、本当の勇気を養っていきたいものです。

子ども達には、そのための空手の稽古なんだと伝えることが使命だと
私は思っています。

建武館 篠田 剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『苦労してつかみ取る喜び』 3

2010-10-04

子ども達は遊戯王カードが大好き。
これらカードを買い取る店があります。

新品なカードほど高額に買い取るシステムのために、
小遣い稼ぎの軽い気持ちで万引きをする子どもが出てきます。

ゲートウェイ犯罪といって、小さな犯罪を引き金に、
ひったくり、シンナー、覚せい剤など重大な犯罪にエスカレートする恐れがあります。

万引きは犯罪です。
楽をして金を儲けようという、怠惰な心を作ります。

子どもには、ほしいものは苦労してつかみ取る喜びというものを味わわせることが、
大人の役目だと思います。

建武館 篠田 剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『親友は、とことん守る』 4

インターネットや携帯電話の利用が増える一方、いわゆる「ネットいじめ」が社会問題になり、誹謗中傷を受ける子どもが増えています。

ネットいじめの被害者対策ももちろん必要ですが、小さいうちから、

  「ネットいじめは卑怯」
  「陰でコソコソ悪口を言うなんて最低」
  「批判を言うなら面と向かって言う勇気を持とう」

と教え込み、また、

  「自分が見たもの、聞いたこと以外は軽はずみに信用しない」
  「噂に惑わされない」
  「自分の親友を簡単に裏切らない」

そして、
  
  「親友をとことん守り通す」

ということが大事だと、子ども達に教え込むべきでしょう。

建武館 篠田 剛

2010-10-05

『思い通りにならないこともガマン』 5

ことわざに「七転び八起き」というものがあります。
何度転んでもまた起きなさい、ということでしょう。

今は一度転んだだけで、くじけてしまう子が多くなりました。
人は、転んで立ち上がるたびに逞しく育っていくものです。

昔はたくさんの兄弟でもまれて、自分の思い通りにならないことが多く、自然とガマンを覚えました。

今は核家族化が進み、厳しく叱る大人が周りにいなくなってしまったために、何でも自分の思い通りになることしか経験しなくなり、ガマンを知らず、すぐにキレてしまいます。

ですから、思い通りにならないのが常であり、何かしてほしいなと思っても、ひとつはガマンして次のひとつを頼むくらいのガマン、譲歩が大事だと教えることが大切です。

我々が、ガマンにこだわる理由のひとつなんです。

建武館 篠田 剛

2010-10-06

『よその子もうちの子』 6

一頃前なら「男の子を育てるなら、骨折の2回や3回は覚悟しなさい」と言ったものです。まさに天真爛漫な子どもが多くいました。それは親の大らかな育て方にあったからかもしれません。

今は親が人目を気にするあまり、子どもを無理やりおとなしくさせていないでしょうか。やんちゃ坊主を認めてあげる寛容力のある、懐の深い親になりたいものです。

子どもは自分の子どもであると同時に社会の子ども。よその子でも、叱ったり褒めたりすることは大切です。お互いにより良い子育てをしたいという思いは共通ですので、道場の親御さんには、

「よその子もうちの子」

を合言葉にしています。
みんなで協力しあって育てていきたいものですね。

建武館 篠田 剛

2010-10-07

『ミス・ユニバース』 7

森理世さんが2007年ミス・ユニバース世界大会で日本人として40数年ぶりに世界一の栄誉に輝きました。

その理世さんのお母さんの子育てというのは、頭を育てること以上に心を育てることに重きを置いていたといいます。
そしてそのモットーは

「根性、努力、忍耐」 と 「継続は力なり」

だそうです。

幼少期より、たとえ理世さんが困難で弱音を吐いたとしても、簡単に手を差しのべることをせず、そこはぐっと堪え心を鬼にし、敢えて苦労させ、自力で解決させたと聞きます。

少子化のせいか、今どきの親はついつい子どもに偏った愛情や過度な期待をかけて、過保護になりすぎのように感じます。やはり、子どもに自立心を持たせるためにも、

「かわいい子には旅をさせよ」

のことわざのように、時には心を鬼にして突き放すことも愛情ではないかと思います。

建武館 篠田 剛

2010-10-08

『かわいい子には旅をさせよ』 8

ミス・ユニバースの森理世さん同様、私達兄弟も片親で育てられました。

父は事業をやっていて凄く忙しく一家団欒も殆どなく、運動会や授業参観にも来てもらえず、朝起きも遠足の準備も、そしてしかも高校・大学の進路までも自分で決めたほどです。

でも毎日の苦しくも楽しい建武館での稽古はいつも父が一緒でした。
今思えば、この空手を通しての教育で、

「根性、努力、忍耐」 と 「継続は力なり」

ということを覚え、幼少時の自分のことは自分でということで、自立心が芽生えたような気がします。

ですから、今このコラムを読んで自省している父母の方がいらしたら、理世さんのお母さんの如く、時には心を鬼にして、

「かわいい子には旅をさせよ」

を実践してみてはいかがでしょうか。

建武館 篠田 剛

2010-10-09

『勉強する土壌は空手で備わる』 9

よく、空手をやると勉強ができなくなるという人がいますがそうではありません。勉強をやらないからできないだけです。

経験上、小さい頃から空手をやっていたおかげで、生活に自主性・けじめ・根気・集中力がつきました。

考えるに、これらはすべて学業成就になくてはならない条件です。

親に言われてイヤイヤやっているよりも、強制されず自主的に行えるようになれば、これほど身につくものはありません。

勉強する土壌は空手で備わります。その上に種を植える苦労は、親がするものです。

私は、わずかな時間でも集中して勉強できるようになったのは空手のおかげだと、私なりに思っています。

建武館 篠田 剛

2010-10-10

『辛い経験が人を成長させる』 10

空手を教え始めて間もない頃は、殴られると、怒るか痛くて泣き出す子がいて頭を痛めたものです。しかし、稽古を重ねるうちにガマンできるようになってきました。

それは、単に痛みに慣れたというだけでなく、当てられるのは、自分の防御技術が劣っているせいだと謙虚に受け止め寛容になれるからのようです。

空手の稽古は苦しいものです。球技スポーツのようなおもしろさはありません。直接打撃なのですから楽なはずはありません。肉体的な苦しさは相当なものです。

ただ、その苦しさを経験することによって “自分の弱さ” を知ることができるようになったことは、とてもラッキーでした。

人は、自分が経験しないものは、なかなか理解できません。たとえばイジメのような、精神的な痛みも同じで、自分が学校(職場)でイジメに遭って初めて、自分と同じような立場に置かれている人の気持ちが理解できるようになります。

自分の弱さを知ることで相手の気持ちがわかる。人情の機微を解せるようになるには、相応の忍耐と経験が必要なのでしょう。

ガマンより楽を求め、自分勝手で思い遣りに欠けるような子であったとしても、このような経験をすることでガマンや思い遣りの大切さを知り、人間的に成長していくものと確信しています。

建武館 篠田 剛

2010-10-11

『なぐり合うはぶつけ合う』 11

人間関係に悩む人は多いと思います。言いたいことも言えず、不満がつのるばかり。何から何まで真っ暗闇よ、と。

言いたいことを言えば波風が立つかもしれません。しかし、意外と後腐れがなく、逆に人間関係が良好になることが多いものです。

ですので、言うに言えないなぁと悩んでいる人は、ここは“ヨシ!”と腹を決めて、面と向かって言ってみましょう。

議論することは人間関係の決裂と思っている人には勇気のいることですが、これは議論の稽古だと考えてチャレンジしてみてください。

なぜこのような話をするのかというと、この、言いたいことをぶつけ合う、ということは、組手でなぐり合うことに似ているからなのです。

突けば相手も反応します。
やりやがったな!といってぶち返す人もいれば、うっと唸って返せない人もいます。

こういうやり取りから、手加減が身につきます。

ぶつかり合いの経験がない子は手加減を身につけられません。
ぶつかることにためらう子の多くは、人間関係を築くのが苦手になってしまうのです。

いずれの日か友達との人間関係に軋轢が生じたとき、挫折感を味わったとき、それを乗り越える力を身につけるためにも、なぐり合う、言いたいことをぶつけ合う経験を、いっぱいさせましょう。

建武館 篠田 剛

2010-10-12

『空手は野蛮?』 12

空手は、本当の価値を評価されておらず、いまなお文化的偏見と蔑視は残っていて、空手は野蛮で暴力的であり、文化的に低いものとみなされています。

なぜ、空手は文化的に低くみなされているのでしょう。

第一、見た目がとても野蛮です。直接身体に突きや蹴りを入れ、相手も痛そうに顔をゆがめ、傍から見ればまるでけんかをしているようです。

よく新聞やテレビの報道で『殴る、蹴るの暴行を加える』という表現を使うため、突いたり蹴ったりすることは、“野蛮で暴力的”な印象を与えます。

そういえば昔から、柔道を身につけた主人公に対する悪役は、たいてい空手家でした。その悪役というイメージが未だに残っていて、空手を習うと乱暴者になると、どうしても悪い方に考えられてしまいます。

はたして、空手は野蛮なのでしょうか。

建武館 篠田 剛

2010-10-13

『ケンカの道具から人間を育てる空手へ』 13

殴る行為は空手を知らなくても本能的に出る行為なのですが、たしかに習いたての人や小さな子どもは、空手をケンカに使うこともあり、それに対して眉をひそめる人もいます。

精神が未成熟な段階では起こりうることなのも事実です。しかし、それは時が解決するもので、ある時期を過ぎると、つまり、技が上達し体が鍛えあがる頃には、武器を持つこと、弱い者いじめ、集団での暴行などという行為が卑怯者のすることだと思えるようになります。

卑怯なこととは何かを悟った者は、潔い行動をとることはあれ、決してみずからを低めるような醜い行為はしなくなるものです。

今は親が傍目を気にするために、あの子がどうしたこうしたと噂が飛び交うと、もうそれだけで、空手は辞めなさい、となってしまいます。親や周囲の大人たちがその道程を理解し、子どもの心が成長するまで辛抱強く見守っていられるかが重要です。

空手を習っていようがいまいが、小さい子がやがて高校生にでもなれば、大人と同じくらいの腕力となります。その時、その腕力が、悪い方に使われるのか人助けに使われるのか、それまでに心を学ばせ、惻隠の精神を叩き込ませる必要があるのです。

体を動かしているのは心ですから。

建武館 篠田 剛

2010-10-14

『体を動かすのは心』 14

道場に「応心技」という墨痕あざやかな額が掲げられています。
“わざ、こころにおうず”と読みます。
その意味は「心の在りようで技は一変する」ということで、まさに至言。

先述の通り空手は拳足を使いますので、
いまだに野蛮な印象を受けやすいのです。
しかし、そうではないのですよ、ということを訴えていかなくてはなりません。

確かに覚えたての技で人を殴ることはあるかもしれません。
しかし修練を積むことにより、
胆力を練るなど人間としての生きざまを学んでいきます。
すると徐々に力ずくの行いをしなくなり、やがてはもめごとを治めるなど、
暴力などに対する抑止力として活かすようになっていくものです。

空手の技は、ケンカの道具にも仲裁の道具にもなりうるということです。
その人の技はその人の心がけの通り表れるということです。

手足を動かしているのは心。
強くなりたいならば、まずは心に誓うことです。
強くなりたいと心に誓うのです。

その強くなりたい一心はやがて態度行動を変えて、
技に変化をもたらして、いつしか技を上達させます。

技が上達し体が鍛えあがると、
自分の信念も曲げずに振舞う逞しい行動力と強い精神力が備わります。

技の上達は自然と心をも強くさせ、
そして強い心は正義と勇気をも芽生えさせ、
ついには豊かな人間性を育ませるのです。

建武館 篠田 剛

2010-10-15

『強い空手家である前に』 15

自分の周りにはつらいことより楽しいことが多いので、
その誘惑に負けてしまうことがあります。
また、塾や習い事、そして中学生になるとクラブ活動を始めると、
どうしてもやめる道を選んでしまいます。

確かに空手を始めれば強くなります。
いじめられっこもいじめられなくなります。
だけど、それで終わって本来の目的が達成されたのでしょうか。

強い子になって終わる、いじめられなくなって終わるのではなく、
善き社会人、カッコいい大人になるためにも、長く空手を続けてほしいものです。

ことわざに、つらい事でも長い間辛抱すれば報われるもののたとえに
「石の上にも三年」というものがありますが、
三年といわず、空手は生涯にわたって続けてほしいのです。

空手家は空手ができなくては困るが空手しかできなくても困ります。
強い空手家である前に、円満な常識人でありたい。
技がうまくなるよりも人間がよくなってほしいと願っています。

建武館 篠田 剛

2010-10-16

『試合とは』 16

何事もやるからには一番を目指します。
なぜ一番を目指すのでしょう。

一番にたどり着くまでいくつもの壁を乗り越えなければなりません。
孤独に耐え、誘惑を断ち切り、もがき苦しみます。
こうして壁を乗り越えることで、
自信がついて、その自信がやがて社会に出たときの役に立つからです。

試合出場を目標におくことでつらい稽古に耐え抜いて、技の向上とともに、
成し遂げようとする心や忍耐力が向上します。

また、人間同士の勝負ですので、そこから多くを学びます。
負けてもくさらず次こそは!
と誓いつつ勝者を称える、勝ってもいい気にならず
敗者の気持ちを察して思いやる。
こういう心を育ませることもできます。

そして、試合という勝敗が明確な場で、負けること恥をかくことなどを恐れず、
どれだけ上達したかという自分を評価の目にさらす勇気と
打たれ強いめげない心が養われます。

他方、怖いながらも頑張ろうと努力する子ども達の背中を押してあげ、
温かく見守り励まし元気付けてあげようと、
道場と保護者が一体となれるところも試合の良いところでしょう。

試合に勝っても掛け逃げするような戦い方をして冷ややかな目で見られることもあれば、
負けた試合なのにいたく感心されることがあります。

このように、勝って名を汚し負けて名を残すということがあるのは、
試合は道場と同じく心身を鍛える場なのだということの表れなのだと思います。

そういうことから建武館の試合では勝ち負けの結果よりも“勝ち方負け方”を重視して、
カッコいい戦い方をした者を称えてたとえ負けても努力賞を贈っています。

このように、試合はいろいろなことが学べてとてもよいところばかりです。
まとめますと、
試合とは、一番になることを目標におき、
その目的はカッコいい人になる。
そんなところでしょうか。

建武館 篠田 剛

2010-10-17

『建武館空手は空手ではない?』 17

建武館はキックボクシングの技を取り入れています。
その訳は、キックボクシングが一番いいとか、立ち技の中で最強だから、
というわけでもありません。

では、なぜ取り入れているのでしょうか。

その最強の技でもって打たれれば痛みは強烈です。
痛みを感じることで沸き起こる攻撃されることへの恐怖心、
これを克服しなければなりません。

この恐怖心、つまり自分の弱い心と戦うことが大事であると考えて、
人間を作る手段としてキックボクシングの技を取り入れました。

ここが、建武館空手は空手であって空手ではなく、
人生修業のための空手である所以です。

建武館 篠田 剛

2010-10-18

『大事な自負の心』 18

自由組手という稽古があります。
これは実際に突き蹴りを自由に当てあう稽古です。

試合と違って稽古での組手は勝ち負けは不問です。
では何が大事なのかというと、
自分より強大なものから逃げ出さなかったことを誇りに思う心、

  自負の心

なのです。
自分より小さい子に勝って自慢するような子になってほしくありません。
この自由組手で自分よりも強い者に立ち向かう勇気を養わせていきます。

  友達と遊びに出かけているとき、もし、友達が悪い奴にからまれたらどうする?
  止めに入ったら今度はキミにからんでくるかもしれないよ。さあ、どうしよう。

そんな時、自分に災いがふりかかろうが損をしようが、助けるんだ正しいことをするんだ、
と言える子になってほしいですね。
そういう正義感を発揮できる勇気を空手で身につけてほしいと思います。

建武館 篠田 剛

2010-10-19

『直観力』 19

女性の護身術が流行っていますが、テクニックだけ覚えてもいざというとき役に立ちません。
今は平和で安全に守られてすぎていて身に危険を感じ取る感覚が鈍っています。

暗い裏通りを歩いたら危ないなとか、
ひったくりに遭わないためにバッグは建物側に持とう、
など危険を感じ取る力こそ覚えることが大切です。

駅のホームで白線の外側に不注意に立っている人を見かけます。
後ろから押されでもしたら落ちてしまうだろうと、他人事ながら心配します。

朝の走り込みでよく思うことですが、
遠く前方をこちらに向かってうつむいて歩いている人は、
おそらく私がすれ違う瞬間びくっとするだろうなとか、

交番のおまわりさんは、書類に目を通しているのだろう下を向いて私と視線が合わないけれど、
もし泥棒が走り去ったら気づくのかなとか、くだらないことを考えながら走っています。

組手で相手の動きに敏感に反応する稽古を続けていると、
ちょっとした動きでどんな技が飛び出してくるのか予測できるようになります。

初心者は相手の動きに敏感すぎてフェイントに対しても驚いて反応してしまいますが、
慣れてくると徐々に心が安定してきて実際の攻撃のみに反応するようになれます。

つまり、何が危険で何が危険でないか判断できるようになって、
本能的な直観力が研かれていくようです。
放っておけば鈍る直観力を、稽古で呼び覚まします。

建武館 篠田 剛

2010-10-20

『陰徳あれば陽報あり』 20

実力主義の競争社会となった今、
自己主張し、自分のいい所をどんどん見てもらわなければ
生き残れない世の中になりつつあります。

ややもすれば人の見ていないところでいい事をやっても無駄
という人もいるかもしれません。

しかし、それは間違いです。

  「陰徳あれば陽報あり」

という言葉がある通り、
人の見ていない所で立派な行いを続けていると、
次第に人徳が備わるものです。
社会が求めているのはこのような人格者です。

学力低下も問題ですが、徳育不足は深刻な問題です。
建武館はこれからも、空手を通じて社会人としての基礎を教え、
社会で求められる力を育て上げることに邁進します。

建武館 篠田 剛

2010-10-21

『得にならぬことをやる』 21

今から46年前、
1964年の東京オリンピックのヨット競技での出来事をご存知でしょうか。

スウェーデンの兄弟選手の艇がトップ集団の中にいたとき
前を走る艇が転覆、選手が海へ投げ出されました。

それに気づいた弟は兄にそれを伝え、
なんとレースを中断して100m逆走し救助した結果、
11位に終わったという話です。

得にならないことをするのは、
お金持ちかお人よしのすることと小馬鹿にされる世の中で、
損をしてでも正しいことをやり通すことは難しいものです。

だけど、そんな世の中だからこそ、
損得だけでは動かぬことをよしとする教育を、
臆することなく声高に叫ぶ必要があるのです。

その兄弟選手は
「何をおいても助け出すのは海の男として当たり前」
と笑顔でコメントしたといいます。
建武館は、こういうカッコいい人に育てることにこれからも努力し続けます。

建武館 篠田 剛

2010-10-22

『子ども達のトイレ素手磨き 初めての経験』 22

道場の子ども達にも、いつかトイレの素手磨きをさせたいと思っていました。
貴重な経験を私で終わらせず、
順送りで善い精神を受け継いで欲しかったのです。

昇級審査を終えた次の日は時間的に余裕がある。
よしその日にやろう。
私は実行することにしました。

その日、稽古を一通り終えると、私は子ども達をトイレ前に集合させました。
みんな、これから何が始まるんだろう?
興味深そうに、少し不安げに、私を見ています。
そしてひと言、

  「今から素手でトイレを磨きます」

みんな目を丸くしましたが、嫌がる顔をする子はいませんでした。
えーっというのを期待していたので拍子抜けというか、なんていうか。

だけど素手磨きの目的やその想いが、
子どもながらに理解してるんだなと思って、
その時は嬉しかったですね。

私が手本を示したあと、まずは黒帯の先輩からです。
はじめは、指先だけでこすっていた子も、
いつしかあきらめて手のひら全体でごしごし磨くようになっていました。

無心で磨いてトイレがきれいになると、心もきれいになったようで、
やり遂げた子ども達はみな、気分爽快でにこやかに、いい顔をしていました。

建武館 篠田 剛

2010-10-24

『トイレを素手で磨いたら』 23

トイレの素手磨きという一番いやなことをやり遂げたのだから、
ほかに何をやっても平気になります。

  仲間が乗り物酔いで嘔吐したとき進んで介抱できる
  排水溝に物が落ちて困っている人の代わりに拾ってあげられる

などなど。

それに、
掃除している人の身になって、トイレをきれいに使うようになります。
トイレの手磨きによって、
人を思いやる精神が鍛えられ、身についていくでしょう。

ふつう、人は、重いものを持つことや汚れる仕事は避けたがるものです。
しかし、誰かがやらねばなりません。

トイレの素手磨きで得た自信から、人がやりたがらないイヤなことこそ、
自分から進んで行うんだと心がけるようになります。

そして、苦と楽があれば、
苦は自分が買って楽は人に譲る気持ちが大事だと考えられるようになります。

つまり、トイレの手磨きによって、人を思いやる精神が備わり、
人がイヤがる仕事こそ進んでやるんだと思える人になる。
そう信じてやっているのです。

建武館 篠田 剛

2010-10-25

『トイレを素手で磨いたら 2』 24

コンビニのトイレを利用することがあります。
そのトイレが清潔だと自分もきれいに使おうと心がけます。

しかし、汚れが少しでもあるとその気持ちが薄れて適当に使ってしまいます。
それが次第にエスカレートしてしまうと、
足の踏み場もなくなるほど汚れてしまいます。

これがブロークン・ウインドウズ理論といわれるものです。
“自分だけではない”という意識から、罪悪感が薄れていくのです。

自分がいい加減に使えば、いずれ自分も汚いトイレを使うことになります。
汚れがあれば進んで掃除をすることが、
自分が気持ちよく使うことにもつながるのです。

汚れ拭きは掃除屋さんがするもの、
と思っている人はもし汚しても平気で去ってしまうでしょう。
子ども達がそんな大人になってほしくありません。
素手磨きを経験させて、
汚したら自分で拭く、という謙虚な気持ちにさせたいですね。

トイレの中は自分一人のときが多く、
もし汚しても知らん顔すれば誰にも知られずにすみます。
しかし、誰かが見ているからやり、見ていないからやらない、
というのは、性根がいやしいと自分の気がとがめるようになります。

そして、自分一人のときにこそ、それを実践するのが、
自分にとっての修業なんだと思えるようになります。

そんな固く考えなくても、
汚したものはきれいにするといった、ごく当たり前のことができる人に、
なってもらうことが、このトイレの手磨きの目的のひとつなんです。

建武館 篠田 剛

2010-10-26

『トイレを素手で磨いたら 2』 25

2010-10-26

コンビニのトイレを利用することがあります。
そのトイレが清潔だと自分もきれいに使おうと心がけます。
しかし、汚れが少しでもあるとその気持ちが薄れて適当に使ってしまいます。

それが次第にエスカレートしてしまうと、
足の踏み場もなくなるほど汚れてしまいます。
これがブロークン・ウインドウズ理論といわれるものです。
“自分だけではない”という意識から、罪悪感が薄れていくのです。

自分がいい加減に使えば、いずれ自分も汚いトイレを使うことになります。
汚れがあれば進んで掃除をすることが、
自分が気持ちよく使うことにもつながるのです。

汚れ拭きは掃除屋さんがするもの、
と思っている人はもし汚しても平気で去ってしまうでしょう。
子ども達がそんな大人になってほしくありません。
素手磨きを経験させて、
汚したら自分で拭く、という謙虚な気持ちにさせたいですね。

トイレの中は自分一人のときが多く、
もし汚しても知らん顔すれば誰にも知られずにすみます。
しかし、誰かが見ているからやり、見ていないからやらない、というのは、
性根がいやしいと自分の気がとがめるようになります。

そして、自分一人のときにこそ、それを実践するのが、
自分にとっての修業なんだと思えるようになります。

そんな固く考えなくても、汚したものはきれいにするといった、
ごく当たり前のことができる人に、
なってもらうことが、このトイレの手磨きの目的のひとつなんです。

建武館 篠田剛

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『日本を美しくする会』 26

2010-10-27

私が生まれ育った板橋区氷川町の一角にある小学校が、
私の母校、板橋区立板橋第一小学校です。
その名の通り板橋で一番歴史が古く、今年で創立136年の伝統ある小学校です。

この小学校に現校長の染谷栄一先生が赴任されたのは平成18年のことでした。
私ども建武館は地域協力団体ということで入学式などの行事に参列しますので、
染谷先生とお話する機会がありました。

ある日、先生とのお話の中で私が
「建武館では子ども達の徳性を磨いて人格を高めるために、便所の素手磨きを行っています」と話しました。
すると先生は、素晴らしい行いをしているある団体を紹介してくれたのでした。

それは『日本を美しくする会』という団体でした。

この団体は、学校などのトイレをお借りして生徒や先生、父母らが一緒になって、
トイレを素手で徹底的にきれいにしようと「トイレ掃除の会」を主催しています。

もともと、イエローハットの鍵山秀三郎氏が提唱して、
経営者仲間に知れて全国的な運動になりました。
鍵山氏は掃除を通じて世の中から心の荒みをなくしていきたい、
という一心で始められました。

その趣旨は建武館の考えに共通するところが多く、共感を覚えました。

染谷先生が、近々トイレ掃除の会があるので参加しませんか?
と誘われましたので、
子ども達にもよい経験をさせたいと思い、
一も二もなく喜んで参加させてもらうことにしました。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。 

『便器を手でごしごし 東京掃除に学ぶ会』 27

2010-10-28

去る平成19年2月18日、
建武館の地元にある東京都板橋区立板橋第一小学校校長染谷先生のご紹介で、
『日本を美しくする会』が主催するトイレ掃除に参加しました。

東京を拠点にトイレ清掃の活動をしているのが東京掃除に学ぶ会で、
今回は板橋区立西台中学校をお借りしました。
建武館からは大人6名と中学生以下10名が参加しました。

当日は雨模様で、薄暗く肌寒い朝でした。
学校に到着すると、会の方が元気のよい挨拶で出迎えてくれました。

  「一つ拾えばひとつだけきれいになる」

まず目に飛び込んできたのが、会の方の上着のバックプリントの文字でした。

体育館に入ると、すでに10班ごとに掃除の資器材が整然と並べられていました。
みなさんどれくらい早くから準備されたのだろうと思うと、
寒いなどと言っていられません。

開会式に先立ってリーダー会議が行われました。
リーダーのみなさんは円陣を組み、
みな正座で姿勢を正して真剣な面持ちで打ち合わせをしておられました。

すべてにおいてこの調子です。
単なる掃除の会ではないことはわかって参加しましたが、
みなさんの打ち込む意気込みがひしひしと伝わり、
いよいよ気合を入れて取り掛からないと失礼にあたると思いました。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『便器を手でごしごし 東京掃除に学ぶ会 2』 28

2010-10-29

ところは板橋区立西台中学校。
板一小校長染谷先生の紹介で、東京掃除に学ぶ会が主管する
トイレ掃除の会に建武館16名が参加しました。

開会式が始まり、我々も10班に分かれて整列。
ストレッチ体操をして各班ごとにトイレに向かいました。

トイレ入口で一礼するところはまるで道場そのもの。
さあ、掃除の始まりです。

大便器・小便器をそれぞれ一つ割り当てられ、便器やパイプなど
順を追って淡々と作業が進められました。

我々を担当していただいたリーダーは藤岡利雄さんという方でした。
リーダーはわかりやすく手本を示して、きれいになると褒めてくれます。

海軍大将、山本五十六のことば
  やってみせ
  言って聞かせて
  させてみせ
  ほめてやらねば人は動かじ

を思い起こします。
そして、掃除の技術を教えながら、その合間に必ず、
人生のためになる言葉を添えてくれました。

便器ひとつを丹念にきれいにしていきます。
掃除という仕事ならば効率の良いやり方が求められますが、
この場合は効率よりも、いかに心を込めるかという過程が
重要なのだと思いました。

建武館 篠田 剛

『便器を手でごしごし 東京掃除に学ぶ会 3』 29

2010-10-30

あっという間に時間が過ぎ、西台中学校でのトイレ掃除が終わりました。

体育館に戻り、入口で会の方に消毒スプレーで手を殺菌していただき、
班ごとに円陣となって昼食です。
食事係の方は温かいカレーライスを作って待ってくれていました。

心もきれいになってやり遂げた気分も爽快だったので余計においしかったのでしょう。
何杯もおかわりするほどおいしいカレーライスでした。

食後は各自で容器を片付けます。
ゴミ袋がゴミの種類ごとに並べて用意されており、
参加者のみなさんは容器をきれいに重ねて入れて、
誰も投げ捨てる人はいませんでした。

閉会式では各班から一人が感想を発表します。
場所を提供して頂いた西台中学校長先生は剣道部顧問もされていて、
その部員生徒も多く参加して思い思いの発表をしていました。
今どきの身勝手な子どもと違い、根気よく最後まで掃除をしていたのが印象的でした。

最後に参加者全員で「ふるさと」を歌って散会となりました。
やけに心に染み入る歌だなぁと感嘆しつつ学校を後にしました。

道場に戻る頃には雲が消えて太陽が心地よく我々を照らしていました。
この日は午後から引き続き道場でも稽古で汗を流しました。

この東京掃除に学ぶ会に参加させていただき感じたことは、
トイレ掃除を通じて会の皆さんが真剣に人の道を説いているということでした。

そして、トイレは道場であり、会の皆さんが着ている「一つ拾えば…」の上着は、
単なる清掃服ではなく“道着”なんだと納得しました。

建武館は空手の技術を用いて人の生きる道を共に学んでいます。
このたびのトイレ掃除も立派な人生修業の場。共感を覚えずにはいられない一日でした。

板一小染谷校長先生、東京掃除に学ぶ会代表世話人千種敏夫様、
実行委員長鈴木様、西台中校長先生、藤岡様はじめリーダー各位、
そしてこの運動のきっかけを作っていただいた鍵山秀三郎様に心から感謝と敬意を表します。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『道場が禅寺』 30

2010-10-31

2010年10月23~24日は。
子ども達にとって忘れられぬ日になるでしょう。
特別クラスの子ども達を急きょ招集して、
道場に泊り掛けの合宿を強行したからです。

私は大学で禅と杖で心を作るという素晴らしい会に、
身をおくことができました。
この時代のお話は後日いたしますが、
そこで学んだ禅寺修行を、子ども達にもと常々思っていました。

おおよその合宿内容は思い描いていたものの、
炊事も子ども達にさせようとしたので、
炊事にどれだけ時間がかかるのか、
お米や野菜はどれだけ買えばいいのか、さっぱり検討つきません。

こういう時、やはり頼るべきはお母さん方。
私が思いあぐねていたら、お手伝いしましょう!
と名乗りを上げてくれました。
そこら辺はまったくもって不慣れなのでとても心強く思いました。

炊事にとても時間がかかることがわかり、
米とぎや野菜切りだけは子ども達にさせ、
その後の炊事はお母さん方にお任せするということで、
全日程が完成しました。

いよいよ当日、10月23日を迎えました。
19時に道場集合。
前方に子ども達、後方には炊事でお世話になるお母さん方が並んでいます。

これから始まる未知なる体験…。
子ども達はこの先どうなってしまうのか知る由もなく、
いつもの凛々しくも無邪気なまなざし。

さて、いったい子ども達にどんな試練が待ち受けているのでしょうか!
子ども達の運命やいかに!

建武館 篠田 剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『道場が禅寺 2』 31

2010-11-01

私が大学時代にした禅寺修行を道場の子ども達にも経験させようと、
道場合宿を思い立ちました。
そしていよいよ実行する日がやってきました。
10月23、24日のことでした。

参加したのは特別クラスといって、
試合で勝利することを目標に置いて、
その目的はカッコいい大人になる、というクラス。
そのうちの小学4年生から中学2年生までの男女15人と、
それに白濱指導員が合宿に参加しました。

合宿の趣旨は、合宿で子供の心を強く逞しいものにさせる、です。
親元を離れて寝泊りするのは寂しく不安です。
その孤独を乗り切った時の達成感を味わわせ、
子どもを一回り大きく成長させようとしました。

また、つらいからやめようとか眠いからもうちょっと寝ようとか、
安きに流されそうになった時、
絶対に流されまいというぶれない芯を育てようとしました。

そして、ご飯が食べられること、布団で眠れることといった
“当たり前のこと”に感謝できる子にさせようとしたのでした。

ちなみに、布団で眠れる有難みを、
子ども達に味わわせるにはどうしたらいいか。考えた結果、
ベッドの代わりに道場の床マット、
枕の代わりに使い古しのキックミット。
これしかない!そう心に決めていました。

床マットで眠れるのか?
私本人も寝たことがないのによく子どもにやらせるよな。
自分にそう思ってました。
ですので、いつか試し寝してみようと思いつつも、
仕事の忙しさにかまけてずっと実行できませんでした。

ある日、合宿の打ち合わせ中にこの話をした時、
炊事の世話をしてくれることになった道場生のお母さんからの
何気ないひとこと、
「さっそく今夜にでも試してみたらいかがですか?」

それもそうだ、合宿日まであとわずか。
今夜は道場で寝よう。
子供のように単純な私がいました。

建武館 篠田剛

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『道場が禅寺 3』 32

2010-11-02

道場で寝泊りの修行合宿。
普段の稽古にない、食べる、寝るという場面で何かを教えたい。
そんな想いで合宿を計画しました。

さて、道場で寝ることについて。
考えてみれば私自身これまで道場で寝たことなどありませんし、
寝る必要もありませんでした。
子ども達は道場で寝れるのか。
合宿の数日前、子ども達に寝かせる前にまずは自分が寝てみようと、
一人で眠ってみることにしました。

この日は居残り稽古の日。
いつも深夜0時過ぎまで道場生がいます。
全員が帰り静まり返った道場に、
キックミットを枕にして試し寝を一人してみました。

道場は道路に面したガラス張りなので人の往来があります。
道行く人は何でこんな時間に人が?と薄気味悪かったでしょう。
マットが硬いので、朝起きたら案の定、
寝違えたのか首が少し痛かったのですが、
“修行”と考えれば何とかいけそうです。

これで「寝る」ことの不安もなくなり、
あとは合宿当日を待つだけとなりました。
そして合宿が始まりました。
出来事をすべてお伝えしたい所ですが、
紙面スペース上、主なものをかいつまんで書きます。

合宿をはじめるにあたりその趣旨を、
道元という偉いお坊さんのエピソードを挿んで話しました。
道元が禅を学びに中国に行った若かりし頃。
料理係をしている老いたお坊さんに対して、
見下げる言い方をしたくだりです。
年老いてまだ料理係かと。
するとそのお坊さんは、
禅ばかりが心を鍛えるものと思ったら大間違い、
料理も心を込めれば禅と同じ効き目があると
ピシャリと言い返しました。

道元は内省し、
以後、日本の禅寺では日常のあらゆる生活を修行の一つとしたのです。
私も禅寺のような、日常を「生活禅」のつもりで、
心を鍛えるような合宿にしようと工夫しました。

建武館 篠田 剛

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『道場が禅寺 4』 33

2010-11-03

去る10月23、24日。
子ども達をカッコいい大人にさせるために企画した道場“修行”合宿。
どんな内容だったのでしょうか。

たとえば食事。
目上の人が箸をつけるまで食べてはいけません。
上下の秩序、規律を教えます。
夕食は白米とけんちん汁、
朝食はお粥と昆布の佃煮、梅干、たくあんという質素なものにしました。
鍋の米粒さえ一粒も残しません。
お茶を注いでこそげてみんなで飲んで“しまつ”します。
各自のお椀もお茶を注いぎたくあんで洗って飲み干します。
食べ残しを躊躇いなく捨てる昨今、
質素な食事でものの有難みとしまつの大切さを学ばせました。

たとえば入浴。
といっても道場の小さなシャワー室ですが。
上級生と下級生のペアで入らせ、年下の面倒をみさせます。
今の子どもは深い人間関係を避けたがります。
結果、信頼して心を通わせる友がいないのです。
まさにお風呂は“裸の付き合い”。
自分をさらけ出す勇気と、上下のけじめを芽生えさせようとしました。

たとえば起床。
朝5時ぴったりに、予め決めておいた起床係の子の合図
「起床ーッ!」
で飛び起きて即正座。
みんな一斉に「おはようございます!」と元気に挨拶させます。
眠いからもうちょっと…は許しません!
甘えやわがままな心を引きずらず、
ビシッと断ち切る自律心を身につかせました。

たとえばゴミ拾い。
朝稽古ランニングのあと近くの公園でゴミ拾いをしました。
もちろん奉仕の精神を養わせるためですが、
ポイ捨ての身勝手さをわからせるためでもあります。
また、偶然ですが子どもが50円玉を拾いました。
落ちてるものは自分のじゃないという、
当たり前なことを教えるちょうど良い教材だ。
遠回りしてゴミ拾いしながら交番に届出させました。

たとえば30分正座ガマン。
終わりまでピクリとも動かないでいられるか?
みんなでやってみました。
ガマンを知らない人は、自分を追い詰めることができません。
ここぞという時に踏ん張れません。自分に甘いのです。
欲しいものが何でも手に入る世の中、
だからこそガマンできる子にしたいと合宿で正座ガマンをさせました。

たとえば街頭チラシ配り。
商店街沿いの駅前で道場のチラシを配りました。
“普段は優美なキャビンアテンダントも、
事故があれば大声で乗客を誘導する。
それがプロ。
おとなしい性格でもやらざるを得ない”。
ある記事を読んで大声を出すことも合宿に取り入れようと決めました。
また、受け取ってくれないと侮辱されたようで落ち込むけど、
やり続ける心のタフさを経験させることも、
チラシ配りの目的の一つとしました。

合宿の締めくくりにリーダーシップとは何か?の勉強会をしました。
みんな思い思いのリーダーシップ像を話してくれました。
人の上に立つ人は知識や技能よりも人柄が大事です。
自分は後回しで後輩のため部下のため、
世のため人のために尽くす人になってもらいたい。

梅干がきらい、という子も泣く泣く食べてがんばりました。
たくあんをポリポリ音を出さないようゆっくり噛む顔が、
こっけいで愉快でした。
厳しい中に楽しさを見い出す。
心の強い人ならできます。

この合宿で、子ども達が一回り大きく成長してくれたならば、
指導者冥利に尽きるというものです。

建武館 篠田剛

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『和の心 常盤台小学校』 34

2010-11-04

ときわ台タイム。
それは、地域に住む方々とかかわりながら、
日本や他の国の文化や伝統に親しむ体験を楽しもう、
という素晴らしい活動です。

日本舞踊、琴、華道、茶道、剣道、囲碁をはじめ、
英語、中国語、インド舞踊そして手話ダンス、切り絵と多彩。
地域の方々が先生となって誠心に、
児童に日本や他の国の文化に触れさせ、
それぞれの違いや良さを感じ取らせます。

本部道場とコナミスポーツクラブ大山で指導している道場生が、
この常盤台小学校にいます。
その子らの要望もあり、また趣旨に共感したので、
この体験学習にボランティア協力することになりました。
10月14日を皮切りに週1回のペースで4週にわたり、
4年生の子ども達に空手を教えます。

ところで、この常盤台小学校の程近くに、
2007年2月に東上線ときわ台駅で殉職した、
宮本警部が勤務していた交番があります。
そこで私が思いついたのは、宮本警部が遺したもの、
すなわち、「誠・勇気」を育ませるのにぴったりの学校であり、
それを講義の主軸にするということです。

空手でそれを伝えるには?
空手に限らずスポーツは、ルールの中で、
相手が嫌がることをやる、相手の得意技を阻止するといった、
ある意味モラルに反する行動をとるものです。
ましてや空手は殴り合うのです。

それゆえに子ども達には、技の鍛錬はもちろんですが、
それ以上に心の充実を求めてもらいたいのです。
心なき技は無に等しい、とさえいわれます。

私の内心は、この体験学習を引き受けたものの、不安でした。
技は何となく身につけられるが、果たしてその心までも、
たった4回の講義だけで教えることができるのか。

「殴られる、蹴られる痛みや苦しみ」こそ味わってもらいたいのですが、
4回だけですので、
「殴る、蹴る楽しさ」だけ覚えて時間切れとなってしまいます。
しかし、いつか技は忘れても、
私が指導の合間、合間に話した人としての道の話は、
必ず子ども達の記憶に残ります。
やがて成長した彼らは、
いろんな経験を積み重ねながらその話を思い出し、
ああ、こういう意味だったのかと理解することでしょう。

理解できたその瞬間、私は、
殴る蹴るの野蛮な空手は正義の振る舞いに変わると信じています。

損をしてでも正しいことをする。
災いの矛先が我が身に転じて火の粉を被ろうが弱者をかばう。
真面目や愚直を恥ずかしがらず周りの目に負けずに貫く。
そんな人こそが認められる国になってほしい。
今の子ども達がそういった価値観を学んで大人になれば、
将来の日本は必ずそんな国になるでしょう。

今日が体験学習の最終日です。
4日間の集大成として同級生や保護者の前で発表会をします。
基本技、ミット打ち、最後に板割りを披露する予定です。
恥ずかしがらず元気に、失敗してもくさらずに。

この体験学習が、
子ども達にとってカッコいい人生を歩む糧となりますように。

建武館 篠田剛

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『薄情な世の中』 35

2010-11-23

先日、コナミスポーツクラブ大山での指導後の、
道場への帰り道のことです。

前方の路上に何かありました。
暗がりでよく見えません。
凝らして見ると自転車にまたがったままの状態で、
人が倒れこんでいたのです。

驚いて自転車を停めて近づきましたが、
頭を打ったのかその間、動いていませんでした。
大丈夫ですかと声を掛けながら近づくと、
ようやく体が動いたので少し安心しました。

怪我はなかったようなので両脇をかかえて立つのを手伝い、
自転車を引いて帰ってくださいと一言告げて、
見えなくなるまで見送りました。

この通りは板橋税務署と区立グリーンホールという施設が
沿道にあって、路地ながら、かなり人通りの多い道です。

私が気づくまでに何人もの人が通り過ぎているはずです。
もし人が倒れていると知りつつも声を掛けなかったとしたら、…

なんて、薄情な世の中。

この寒空に自転車の下敷きになっているのにです。
確かに身なりは綺麗とはいえませんでした。
近づくと少し臭いもありました。
でもそれがどうしたというのでしょう。

かかわると面倒くさいから?
実利実益がないことをしても無駄だから?

困っている人がいたら助ける。
そう心に決めておく。
その時の気分がいい悪いで行動を変えない。
一度決めたらブレずにやる。
貫き通す。

いくら賢くても有能であっても地位のある人でも、
弱者を助けることができなければ私は軽蔑します。
逆に、年下だろうが何だろうが、
損をしようがお構いなく助けられる人を尊敬するのです。

建武館 篠田剛

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『努力ぎらいが生けにえを作る』 36

2010-11-28

徒党を組む、つるむ、群れる、私は性に合いませんでした。
ですので単独行動もへっちゃらでした。

それは、
自分という強い芯があること。
身近な人間に信頼されていること。

これがあるから独りになっても耐えられたのでした。

自分に芯がなく人間関係もうまくいってないと、
一人になることは耐えられません。
仲間はずれを異常に恐れます。

そんな人はどういう行動をとるか?

自分の身を守るために、誰かを犠牲にします。
昨日までの友人を平気で生けにえに差し出すのです。
友情もへったくれもありません。

同情や共感などしたら今度は自分がいじめの対象になってしまう。
だから冷徹になります。
どんどん生けにえを作ってそそくさとけなします。
あいつはダメだと。

人をけなせば自分は努力しなくても優位に立てます。
ところがその人はまったく前進しいていません。
人をけなすことが自分を優位に立たせる、
一番努力しないで済む方法なのです。

努力ぎらいな子は生けにえを作る。

だからこそ努力しよう。
自分の芯を作ろう。
信頼されるに足る自分を作ろう。
私たち兄弟は幸せです。
父が空手という努力の方法を与えてくれたからです。

建武館 篠田剛

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『トイレの神様』 37

2010-11-29

小3の頃からなぜだか
おばあちゃんと暮らしてた…

このフレーズで始まる植村花菜さんの詞曲。

トイレには
それはそれはキレイな女神様がいるんやで
だから毎日キレイにしたら
女神様みたいにべっぴんさんになれるんやで…

紅白に初出場すると聞いて興味は持っていましたが、
読売新聞の編集手帳(11月28日付)を読んで俄然、嬉しくなりました。

濱口國雄さんの詩、
イエローハット創業者鍵山秀三郎さんのトイレ掃除の話が
添えられていたからです。
そして、トイレ磨きは人の心を磨く修業であろう、
という言葉。
嬉しいですね。

各地の学校にもトイレ掃除は広まった、ともあります。
板橋第一小校長先生に誘われ同行したのを思い出します。
建武館の良き伝統、トイレの素手磨きが評価されたような、
そんな気分にもなりました。

実は私も、ある日からずっと毎日道場の便器を手拭きしています。
掃除の最中に道場生が小便に来て鉢合わせとなり、
隣の便器で気まずく放尿していたこともありました。

鍵山さん同様、私も、「トイレ掃除しかできない」館長と、
笑われているのかもしれませんが…。
自分への信念を固めるためにも、
周りの人々の荒みを解きほぐすためにも、続けていくつもりです。

建武館 篠田剛

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『新年 力漲らせ、いざ出発!』 38

2011-01-01

笑われるほど愚直に生きる。

青くさいと言われるほどまじめに生きる。

甘いと言われるほど人の美点に目を向ける。

いいじゃあないか、一度きりの人生だ。

真実一路でいってみないか!

怠ること勿れ、だ。

建武館 篠田剛

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『新年に思う』 39

2011-01-02

空手で飯を食う。
こういうと、商売だとか、金儲けだとか言われそうです。

金銭を得るために空手を使うのは不道徳だ、
ボランティア精神に徹するべきだという人がいるかもしれません。
しかし何をもってボランティアと言うのでしょう。

有償・無償の別ではなく
人のために何かをしてあげたいと純粋に思う心の強さ
これを尺度にすべきと、私は思います。

そういう尺度があれば、正当な対価として会費を受け取ることに、
ためらいを感じなくてよいのです。

空手を仕事にすることは子どもの頃からの大きな夢なのです。
富を求めるものでは決してありません。
しかし貧乏に安んじていても、生活ができなくなれば、
教えることも、大好きな空手さえもできなくなるのです。

公立学校の体育館はボランティアならば、
借りて子ども達に教えることができます。
熱意ある人は仕事をやりくりして時間調整して教えに来ます。
しかしあくまでボランティアですので、
勤務先が不況でリストラにでもなれば、
自分の生活が精一杯で教えることもできず、
その道場は解散となってしまうでしょう。

空手に限らず、柔道、剣道、合気道、少林寺拳法、なぎなた…。
その先生や指導員の情熱と責任感に支えられて、
今日までやってこられました。

しかしそれだけに頼るのには限界があります。
であるからこそ、自治体はぜひ、
景気に左右されない環境作りを支援してほしいのです。

例えば、青少年の健全な育成に必要な事業には、
公立学校の体育館使用規定を見直し、
無料もしくは最小限の料金で借りることができるようにする、
体育館を使用する際には正当な対価として、
月会費を受け取ってよいことにする、などです。

一日も早く、町道場や指導に携わる者が、
歯を食いしばって頑張っていることが認知され、評価されるよう、
これからも努力していきたいと思います。

建武館 篠田剛

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『卯 今年の干支は、ど真面目なうさぎ』 40

2011-01-03

イソップ物語で有名な「うさぎとカメ」。
ここに登場するうさぎは、
いくら才能があっても思い上がってはいけない、
という教訓に使われています。

卯年生まれの私としては肩身が狭い。
そこで、うさぎに肩を持って言います。
今年のうさぎは違います。
今年のうさぎは「ど」がつくほど真面目なうさぎです。

天賦の才能に溺れずに、
懸命に汗をかいて人の二倍も三倍も努力を重ねたうさぎ。
打ち込むことで心がみがかれ、
やがてはよい人生を送ることができました。

童謡「うさぎとかめ」のメロディーに乗って、
そんなど真面目うさぎを励ます詩があります。

のんびり歩まず全力で
脇目もふらずに打ち込んで
三歩進んで二歩下がり
誰よりたくさん努力する

世間を知らない甘ちゃんが
愚直にまっすぐど真面目に
正しいままに貫いて
つかんだ人生楽しけれ


建武館 篠田剛

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『惻隠と利他の精神』 41

2011-01-04

平成24年より中学校で武道が必修化されます。
これは武道の教育的価値が認められたからでしょうか。
私は、今の日本に必要な
「惻隠と利他の精神」
を武道に求めているからではないかと思えてなりません。

武士道という書物を著した新渡戸稲造が、
武士道の最高の美徳は弱者や敗者への共感の涙であると語っています。

当時、武士は権力を持ちながらも庶民よりお金がなく貧乏でした。
しかし庶民からは尊敬されていました。
それは、この弱者を思いやる心、惻隠があったからです。
つまり、お金持ちよりも道徳心のある人が、
人間として敬意を表された時代だったのです。

利他の精神とは、この自分よりも他者の利を優先する、という心です。
自分のことは後回しにして人のために尽くすのは、
お人好しのすることだと小ばかにされそうです。

しかし、他人のことなどどうでもいいとなれば対立が起こりやすい。
実際に国内外では衝突や紛争が絶えません。

だからこそ、今、惻隠の情と利他の精神の復活が叫ばれているのです。

建武館 篠田剛

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『ガマン売ります』 42

2011-01-05

板橋税務署の近くで目にとまる“ガマン売ります”のポスター。
そこが建武館の道場です。

建武館はガマンを標榜しています。
それには理由があります。

テレビを観たいけど勉強しよう
お菓子を食べたいけどごはん前だからやめよう

人はどうしても楽な方に流れがちです。
そこをグッと堪える強い意志、
つまりガマンがとても大事になってきます。

ガマンが大事だよと口にしていると自然に、
踏ん張りどころでガマンができる子になってくるのです。

自分で限界を作ってしまうことがあります。
ベンチプレスでよくある光景ですが、もう限界だと思ったとき、
周りの人に気合を入れてもらうとできてしまった経験はありませんか。

自分で限界と思った瞬間、そこからさらにもう1回、あと1センチ、
限界に挑戦するときにこそ、ガマン力が備わるのです。

「ガマンする子は未来が明るい」
そう信じて建武館キッズは毎日、稽古に励んでいます。

建武館 篠田剛

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『なぜガマンか』 43

2011-01-06

ガマンを標榜する建武館。
ガマンすることによってよいことがたくさん起こります。
いくつか例をあげましょう。

ガマンすることによって、
ものごとをあきらめず懸命に打ち込むことができるようになります。

例えば白濱指導員。
1月9日にキックの試合が決定しました。
おそらく正月返上で練習します。
周りは正月気分でのんびり、
お酒やお餅を食べながら紅白や正月番組を楽しむでしょう。

そんな雰囲気の中、
減量で飲み食いもせず独りこもって稽古に打ち込まねばなりません。
決して、まぁいいかと妥協してお餅を食べてしまうことはありません。
家族が食べているからといって、
自分も流されてしまったら減量に失敗してしまうでしょう。
やると決めたらどこまでもやります。

このように、ガマンは、いっときの孤独に耐え、
ここぞという時に踏ん張れる強い心が培われるのです。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『なぜガマンか 2』 44

2011-01-07

ガマンを標榜する建武館。
ガマンはほかにどんなよいことを起こすでしょう。

主張すべきときは主張しますが、その反面、
譲るべきは譲るということができるようになります。
自分とは考えが違うといって聞く耳を持たないようでは、
人とのつながりは作れません。
主張するがガマンもする、
というバランスがとれるようになってきます。

人との交わりでは自分の意見が伝わらないことがあります。
いや、伝わらないことの方が多いと思ったほうがよいでしょう。
世の中は生まれも育ちも違う人間が集まっているのですから、
考え方が異なるのは当然なのです。

そうとわかれば、自分から意見をためらわずに述べますが、
その反面、えっ?と思うような意見でも、
なるほどと聞くことができます。

ガマンは、自分の知見を広めようと積極的に努力するようになり、
人間の幅が広がるのです。

建武館  篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『なぜガマンか 3』 45

2011-01-08

ガマンを標榜する建武館。
ガマンがなぜよいのでしょう。

私はタバコを吸いませんが、喫煙者であってもポイ捨てはせず、
面倒でも歩いて吸殻入れに捨てるでしょう。

私は、目の前で弱い者いじめを見つけたら、
迷うことなく止めに入ります。
心の中でそう決めていますので、必ず助けます。
その時の機嫌で変わることはありません。
今日は機嫌が悪いから見て見ぬふりをしようなどと思いません。

つまり、ガマンを覚えると、
自分の行動や判断の尺度となる規準が確立されて、
身勝手な生き方をしなくなります。
一度、こうと決めたらブレない。
ガマンは行動にブレのない人間を作ってくれるのです。

このように、ガマンというのは、
肉体的な痛みを堪える、というだけではありません。
それでは、ガマンの効用をまとめてみましょう。

ガマンは、孤独に耐えて自分を追い込めることができます。
粘り強く行動しますので、
物事を成し遂げて成功する可能性が拡がります。

ガマンは、自分と意見が合わない人を避けずに接することができます。
毛嫌いせずに聞くことで、
なるほどと知見が広がることも期待できます。

ガマンは、ブレない芯を作ることができます。
言動がころころ変わらないので人から信頼されるようになります。

結論めいたことを言いますと、
なぜガマンを標榜するのか。
それは、

「人に慕われる人を作るため」

なのです。
この人と一緒にいたい、
そんなカッコいい人がいっぱいいる世の中にしたいのです。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『サンドイッチとトイレ掃除』 46

2011-01-12

空手の稽古は、基本、ミット、約束組手と続き、
締めくくりに自由組手をします。

私たち指導者は、
この締めくくりにやる自由組手を強くさせるために教えています。

ミットは襲ってきませんが、
自由組手は相手が思いもよらない攻撃を仕掛けますので、
怖いし当たれば痛いしで、ときに心が折れそうになります。

だからこそこの自由組手が大事だというのです。
つまり痛さ怖さに逃げずに立ち向かえる、
心の強い人になってもらいたいからなのです。

しかし組手が強いだけで威張ってしまう子もでてきてしまいます。
中には格下の弱い子をやっつけて自慢する子も出るかもしれません。

組手が強くなると、さも自分が偉くなったように錯覚します。
この偉ぶるところがいけないのです。

ここら辺は、
社会での勝ち組が負け組を見下し蹴落とす構図と一緒です。
これはいけません。
……だけどおかしいですよね。

自由組手を強くさせるために教えているのに、矛盾していませんか?
強くさせておいてそれはないでしょう!と言われそうです。

そこで言葉のサンドイッチが必要になるのです。
トイレ掃除やボランティアが必要になるのです。
組手が強いだけで何が偉いんだ?と教え込んでいくのです。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『曲がりそうな腕力をまっすぐに』 47

2011-01-13

組手が強くなれば皆いい人になれる、
というのはまちがいかもしれません。
もちろん辛い稽古で苦しみもがいて壁を乗り越えたことで、
自信がつくこともあります。

しかし人格者になれるかどうかは別物なのではないでしょうか。
変に自信がついて、
あくどい事だって平然としてしまう人間になりかねないからです。

だからこそ、言葉のサンドイッチが必要なのです。
トイレ掃除やボランティアが必要なのです。

指導員は、稽古の始めと終わりに、
人としての道について必ず一言そえます。
曲がりそうな腕力を、まっすぐにさせます。

たとえば、山を歩いて二つの坂に出くわしたら、
迷うことなく急なほうの男坂を選べ、とか、
饅頭が一つしかなければ半分に割って大きい方を渡すか、
俺は腹いっぱいだと丸ごとあげろ、…などです。

たわいない話ですが、子ども心に必ず焼き付いて、
そういう場面で話を思い出すものです。
そして人より辛い方、損な方を自分から進んで選ぶ癖がついてきます。

トイレ掃除もそうです。
窓ふきと便器ふきどちらを選ぶかといえば誰しも窓ふきです。
だけど、うんこを爪でコリコリほじくるのを経験すれば、
便所ふきもへいちゃらになります。

ちなみにうんこコリコリが何だかわからない方は、
空手のこころ4をご覧ください。

ボランティアは思いやりと物事の善悪を学びます。
子ども達に定期的にゴミ拾いをさせています。
ポイ捨てする大人の無責任な吸殻をひろわせます。
身勝手な人が多いことをわからせます。

このように、
ことばで補ったり、掃除で底辺のつらさを経験させたりしながら、
向日葵が陽に向かう如く真上から陽を注いで、
組手で強くなった腕力を曲がらぬようまっすぐ伸ばしてやるのです。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『伊達直人はあなたです』 48

2011-01-14

だけどそんな僕でもあの子らは慕ってくれる…。

僕を信じてくれる人がこの世にいたのか。
どうせ僕のことなんかわかってくれない、
周りはみんなバカな奴ばっかりだと思っていたのに…。

直人は心が揺れ動いたんだと思います。
今まで人を疑り、さげすんでいたのに、
そんな自分を慕ってくれる人が現れた。

これほど心強くて嬉しいものはありません。
自分はここにいてもいいんだと。
認めてくれる人がいるだけで、心が救われる思いがします。

小さい頃からお前はダメだと言われ続ければ、
自分の考えや行動に自信が持てません。
反対に、身近な人に信頼されれば、
自分もまんざらじゃないと自信が持てるものです。

みなしごの正しく生きる厳しさを…。

人は色眼鏡をかけます。
この人はこうに違いないと。

一度決めつけると簡単に変えられません。
決めつけられる方はいつまでも嫌な目で見られます。
たまったものではありません。

世間の嫌な目が長い間続くと、どうせ僕は…となってしまいます。
そんな状態から抜け出して這い上がることは、
実に厳しくなってしまうのです。

私達はどうしても、人の短所に目がいってしまいます。
何度も見ると許せなくなります。
そして指摘してやっているつもりが実はけなしてしまっていたのです。

短所ばかり目をむけるとその人を嫌いになります。
しかし、人間は不思議なもので、
あることがきっかけで好感を持つと、
次第に長所に目が行き、やがて好きになっていきます。

これからは長所に目を向けませんか。
そうすれば必ず虐待もいじめも減っていくでしょう。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。
 

『懐が深い人』 49

2011-01-15

建武館が目指すもの。
それは次世代のリーダーを育てることです。

今の世の中、自分のことしか考えない人が増えました。
だからこそ人に慕われるリーダーが必要なのです。

では、リーダーになるための条件はどのようなものがあるでしょう。
条件の一つに「懐が深いこと」が挙げられます。

懐が深い。
度量が広いとか、器量が大きいともいいます。
包容力のある人です。
そういう人は後輩を守って見捨てません。
だから後輩が一生懸命ついてきます。

そこで建武館ではどのようなことをしているかというと、
「ふたつの選択肢があったら、
人より辛い方、人より損な方を選びなさい」
と教えています。

より困難な道を自分から進んで選ぶよう、
何度も、何度も、“癖”がつくほど、繰り返し話します。

すると、自分のことより人のため、
自分は後回しにしてまで後輩に気を配れるようになります。

時には後輩の失敗を自分がかぶってあげることもあるでしょう。
先輩に怒られるかもしれませんが、
それを承知で進んで身代りになるでしょう。

手柄は後輩に譲り、責任は自らがとる。
人より辛い方、人より損な方を選ぶ癖がつくと、
そんな懐の深い人となることができるのです。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『思いやりのある人』 50

2011-01-16

次世代のリーダーを育てる。これは建武館が目指すひとつです。

リーダーの資質の一つに「思いやる心」があります。
この「思いやる心」を育むために建武館は掃除をやります。

掃除の中でもみんなが一番やりたがらないトイレ掃除をやります。
それも素手で。イヤだなと思うことを経験させるのです。

すると、いつもは気にも留めなかったけれど、
汚しっぱなしで去ってしまう人が目につきます。
とても自分勝手で横柄な人間と映ります。

同時に、這いつくばって頑張っている人の、
苦労や痛みというのもわかるようになってきます。

このように、下っ端の仕事をすることで、
下っ端の気持ちが理解できるようになり、
人の身になって考えられるようになって、
やがて思いやる心が生まれるのです。

下っ端の仕事は喜んで引き受けましょう。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『信念のある人』 51

2011-01-17

建武館が目指している、次世代のリーダー作り。
リーダーは、確固たる信念を持っています。

小さい頃にバカにされたり、否定されたりすると、
自分に自信が持てなくなります。
何か壁にぶつかると、
“自分はダメな人間だから間違っているのでは…”
と心がぐらつきます。

しかし、褒められ認められて育つと、
それがゆくゆくは自信につながっていきます。

壁にぶつかった時も、
自分の進むべき道は間違っていないと思えるようになります。

第三者の方から認めてもらうと、
その自信はさらに深化して信念となります。

先日ご紹介した中村様も、私に自信を与えてくれたお一人です。
また、別の方からも励ましのメールを頂きました。

マイベストプロ東京事務局を通じてその方のメールを拝見しました。
教師をされている女性からでした。
私のコラムを毎日読んで頂いていると伺い、とても励みになりました。
いまだ返事もせず、申し訳ありません。
このコラムを通じてお詫びとお礼を申し上げます。
有難うございました。

このように、
人から認められるなどの成功体験を積み重ねていくうちに、
自分の思いに確信を得て、信念となります。

確固たる信念があれば、自分の行動にブレがなくなります。
気分に流されることなく、
自分の進むべき道が決まればどこまでも突き進めます。
人生劇場の“やると思えばどこまでやるさ”じゃありませんが。

子どもが良い行いをしたら、しっかり褒めてやりましょう。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『人生に勝てる人材育成』52

2011-01-18

人の上に立つ人とは。
懐が深く、誰よりも思いやりがあり、確固たる信念を持って
茨の道だろうが突き進む人。

そういう人は、いつも朗らかで機嫌がよく、魅力的です。
人から慕われ、「この人と一緒にやりたい」と思われます。

会社を経営している社長さんにとっては、
こういう人材を採用したいはずです。

世の中には、上には媚を売り、
下を足蹴にする人間などがうようよいますから。

組手で強い心を作り、言葉がけや掃除などを通して
人の上に立つ人の心を作ります。

人生に勝てる人材=社会の求める人材を道場で育て、
世の中を良くしていくのが理想ですね。

建武館 篠田剛

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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『たとえば張富士夫氏のように』53

2011-04-08

昨夜は中学1年生の一般部での体験2日目でした。

中学生になると一般部の時間帯で稽古するようになります。
この先、部活などでどのような中学生活になるかわからず不安です。
そこで、新1年生のために4月いっぱい体験を認めているのです。

さて。
稽古が終わり、掃除の時間となりました。
新1年生たちは一生けん命に掃除をしています。

よく見ると、下級者は雑巾がけをして、
茶帯などの上級生はミットを拭いていました。

一般の人に指示を受けたのでしょう。
上級生は決して楽をしようとしたのではありません。

されど一言。
子ども達には強くなってもらいたいのはもちろんです。
しかしそれだけではなくて、良きリーダーになってもらいたいので。

たとえば。
嫌なこと辛いことを自分から買って出る人に。
それを自分だけでなく、
みんなを巻き込んで気持ちよくやらせてしまう人に。

だからこれからは。
ミット拭きと雑巾がけがあるとしたら、
雑巾がけを選んでほしいですね。
大変な方を。

だけど、それだけではまだまだ。
一人で黙々と雑巾がけするのもいいことです。
しかしそれから一歩進めて、
「ミット拭きは後輩にやってもらって俺たちは雑巾がけしよう」
そう言って仲間を巻き込んでやってしまう奴を育てたいですね。

4月1日付で第15代の日本体育協会の会長に、
トヨタ自動車会長・張富士夫氏が就任。
張氏は東大時代に剣道部主将を務めたそうです。

辛いことを楽しく、
みんなを引っ張っていくリーダーだったと想像します。

たとえば張氏のように。
組手が強いだけでなく、
ほんとうのリーダーを育てることが、建武館の役割なのです。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『四十の手習い』54

2011-04-25

どんなことに戸惑ったのか。
それは、手加減、力加減です。
そして、殴る・蹴るときの感情です。

どのくらいの強さが“適当”なのか?
“負けるもんか”で終始させていいのか?

先輩が、負けるもんか!コノヤロウ!と、
後輩に打ち込んで終わらせるとします。

いい稽古になりましたと喜んで帰る者は、
まれにはいますが、ほとんどは脱落してしまいます。

打ち込んだ拳に、こいつのためにという愛情が籠っていなければ、
悪感情が残ってしまうだけだからです。

愛情があれば結構強く蹴っ飛ばされて足を引きずって帰っても、
また稽古に来ようと思うものです。
このように、加減と感情には密接な関係があるのですね。

私は一般部での稽古を通じて-40歳の手前でしたが-
この加減や感情を貪欲に吸収していきました。

ガツンとやられて
「いい稽古になりました」と喜んで帰る者を増やすことを心がけよう。

そんな彼らが増えるということは、
加減と感情の絶妙なバランスがとれている証拠だからです。
また、先輩と後輩が切磋琢磨する良好な間柄である証だからです。

私は、四十の手習い…遅ればせながら、
徐々に技術と精神を体に染み込ませていったのでした。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『組手は説得力を競い合うディベート』55

2011-04-26

どのくらいの強さが“適当”なのかは、
組手をしているうちにわかってくるものです。

自分の手ごたえ、自分が受けた痛み、相手の反応。
この3つの要素を元に考えます。

こういう角度から攻撃をうけたとき結構痛かった。
こういう手ごたえの時に相手は痛がっていた。

こんなことを繰り返すうちに、
相手の痛みが何となくわかってきます。

蹴る角度やタイミングも、
その時に応じてコントロールできるようになります。

すると、この相手には5割の力で蹴ってあげよう、
などと力加減ができるようになります。

自分自身も痛みを経験してはじめて、
同じような角度で打ったとき
“俺と同じように痛いだろうな”
そう共感できるようになります。

前提は、お互いに真剣に攻撃しあうことです。
つまり切磋琢磨です。

組手は、説得力を競い合うディベートにも似ています。
お互い、丁々発止、言い合いながら、ぶつかり合いながら、
伸びていくのです。

これが大事なんですね。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『山口秀範さんのことば』 56

2011-05-08

“まじめや愚直さを、何かおしゃれでない、鈍くさいことのように考える風潮があります。地道に努力し続ける人を要領の悪いやつと見下したり、本気になって物事に取り組む姿勢を嗤ったり、不正を許さない潔癖さを「青くさい」と小ばかにしたり、「立派」であろうとすることが現代的・都会的ではないように思う空気が濃厚に広がっているのを感じるのは私だけではないはずです。

昔の大人は皆、子ども達のお手本として生きようと努めました。そもそも教育は、専門家の独占物ではないし、またそうさせてはならないのです。大人一人ひとりがそれぞれ身近な子ども達の生き方の指導者として復権することを願ってやみません。”

ある対談をきっかけに出会った、
山口秀範さんという方が出版した本にあった前書きです。
まさに、私が常に思っていたのは、この言葉でした。
この本については後日お話します。

正しいことをばか正直にやり通す人は、
融通がきかぬ青くさい世間知らずと思うかもしれません。
しかし、バレなければ何をやってもいいんだと教わった子どもは、
大人になったらどんな人間になるでしょう。

世の中では今、
欲に目がくらんで起きた悲しい事件が多発していますね。
大きな金儲けはできなくても、お客様に誠実に接していれば、
人生が狂うような馬鹿げたことはしないはずです。

愚直な人間はだめでしょうか。
巨人の小笠原は三流選手と自称して2,000本安打を達成しました。
彼こそ「愚直」という言葉が似合う男といわれているではないですか。

愚直で不正を許さない潔癖な人間は、
青臭くて世間知らずと小ばかにされます。

だけれども、他人の子を預かる指導者として、
それは間違いなく正しいことだと教えなければなりません。

当たり前のことだけれど、子を持つ親として、
小さいうちからモラルや規範をしっかり叩き込んでおくべきです。

おやじが子どもの手本として生きよう。
“人として大事なことを教える力”を発揮しよう。

わが子や世の子どもを、自分に厳しく、人に優しく、
正義を貫く子どもに成長させようではありませんか!

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『愚直で不正を許さない潔癖な人間』57

2011-05-09

愚直で不正を許さない潔癖な人間は、
実業の世界では生き抜けないと言われます。

その理由は、不正やズルを許せないガチガチ人間には、
取引先や部下がついていけないからです。

酸いも甘いも噛み分ける
=人生経験が豊富で、世の中の表も裏も知っている=。

清濁併せ呑む
=善も悪もわけへだてなく、来るものはすべてあるがままに受け容れる=。

世間の荒波を乗り越えるには、
そういった度量も必要だということだと思います。

でもそれができる人は、実はほんの一握りの人なのです。
言うは易く行うは難し、です。

なぜならば。
人は易きに流れるからです。
表の世界は実力勝負だが、裏の方はラクなことが多いものです。
自分に厳しい人ならよいのですが、
甘い人はラクという堕落のスパイラルにどんどん嵌ってしまうからです。

もう一つの理由として、
美点凝視ができる人だけが善悪併せ呑むことができるからです。

悪事を見ると普通の感情の持ち主なら嫌悪感を抱きます。
その悪事をも受け容れるのには心の整理が必要です。
「この人は、この面については難点なのだが、
一方ではこんないいところがあるじゃないか」と。

つまり、いいところを見つめてあげることができれば、
悪事も受け容れられるようになります。

だから。
社会的正義感は人一倍、部下の失敗も自分が責任を取る。
反対に成果があがれば部下の手柄とする。
自分は愚直に生真面目に生きることを心に決めて、
人には徹底して美点凝視を貫く。
そんな人間になりたいし、子ども達をそんな大人に育てたいのです。

わが子や世の子どもを、
自分に厳しく、人に優しく、正義を貫く人に成長させる。
これは「おやじの会」の命題でもあります。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『よいお手本に』58

2011-05-10

以前にお名前を挙げた山口秀範さんは、
株式会社寺子屋モデルという会社の代表者です。

活動内容は、偉人伝講座を中心とした現代版寺子屋
「あちこちde寺子屋」の実施です。

幼稚園や神社、お寺などで園児や小学生、
その父兄向けに偉人伝を伝えています。
“偉人の生き方に学んだ日本の少年少女が未来の偉人となってほしい”
そういう願いが込められています。

前回のコラムで、人には表の世界と裏の世界があると言いました。
多感な子ども達に裏の世界の話は無用、
表の世界の話をいっぱい聞かせることが大事です。
朱に交われば赤くなる、といいます。
人は出会いによって善くも悪くもなるものだからです。

ITブームの中で
“時代の寵児”とマスコミにもてはやされた人がいます。
彼は投資家を欺いて
「法が禁じていなければ何でもできる」と豪語しました。

世間が彼を英雄視すれば、
それを模倣する若者も、悲しいかな出てくるでしょう。
そして新たに重大な犯罪に手を染めて、
人を騙して不幸にしてしまうのです。

阪神大震災をきっかけに、
人助けをする職業に就いた若者がたくさんいました。
こちらの方は、人との出会いの好例です。
医師、警察官、消防士…。
とても素晴らしいことだと思います。

人との出会いは、その人の運命をも左右することがあります。
だからこそ、素晴らしい人と多く出会い、
素晴らしい本と多く出会うことは大事です。

大山巌は西郷隆盛の生き方に学びました。
その西郷隆盛は島津斉彬を人生の目標にしました。

功成り名を遂げた人物は決まって、偉人の生き方に学んでいます。
多感な子ども達には、
山口さんのように偉人の話をたくさんしてあげましょう。

願わくば、偉人の話も大切ですが…。
一番身近にいる、
「おやじ」が子どもにとっての人生の目標となりたいものです。

いつか道場に小さな図書コーナーを作って、
偉人伝の本を子ども達に貸出したいと思っています。
子ども達がその本を読んで感銘し、
人生にいい影響を与えればと思います。
山口秀範さんのお話はまた改めていたします。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『いつか必ず、空手という社会貢献を仕事にする男に』59

2011-02-05

「空手を通じて心と体を元気にさせるという社会貢献に、
ぜひ、私も仲間入りをさせていただき、
人様のお役に立ちたいと願っています」

私はマイベストプロ東京への登録の際、
このような文書にしたためて送りました。

タイガーマスク運動、伊達直人現象によって、
児童養護施設への関心が広まりました。
施設には半数以上、虐待経験がある子どもたちがいるそうです。
虐待やネグレクトで育つと心の奥底に人間不信を抱くといわれています。

どんなに稚拙であっても、
踏みにじらずに育ててくれる大人に出会うことが大切。
全国自立援助ホーム協議会ホームページから引きました。

私も幼少のころに似たような経験を持つ一人として、
よくわかるところです。

子どもたちが大人を信じられるようにさせる支援が何より必要です。
これからも、私どもにしかできない社会貢献に、
取り組んで参りたいと思います。

そして、いつか必ず、
空手という社会貢献を仕事にする男になりたいのです。

建武館 篠田剛

 

『他人を思い遣れる子どもに』60

2011-05-11

強く逞しく。
優しく明るく。
正しく堂々と。
そして自分を持っている人間に。

人の悲しみを我がことのように悲しむ。
人の喜びを我がことのように喜ぶ。

試合出場を目指す仲間の稽古に付き合う。
その仲間の勝利に貢献できたことを喜ぶ。
こういうことに喜びを感じる人間に。

自分のことしか考えない世知辛い世の中にあって、
他人を思い遣ることのできる子どもを輩出したいですね。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『トイレ掃除、ほろ苦いスタート』61

2011-05-31

私はトイレの手磨きを日課にしています。
道場の便器に付いている大便、小便を拭いて、
きれいにしてから帰宅します。

たまに忘れてしまう時もありますが、
引き返せるときは道場に戻って掃除して帰ります。

仕事が長引いて2時3時になっても一人ゴシゴシやっていきます。
帰る間際に思い出し、面倒になって
“今日一日くらいいいか”とよぎっても必ずやります。
もう意地になってやっています。

トイレの手磨きを日課にするようになったのは2006年の春からでした。
そもそもなぜ始めたのかというと、
実はあまりかっこのいいはじまりではありませんでした。

2006年、早春。
会社の人間関係をどうにかよくしたいと思っていたときでした。
社内で、ある目標を設定して達成しなかったらトイレ掃除をしよう、
と約束しました。

その目標は達成しませんでした。
4月1日より、約束通りみんなでトイレ掃除をすることになりました。

数か月すると、この約束は守られなくなりました。
守られないばかりでなく、このトイレ掃除がもとで、
より人間関係を悪化させてしまいました。

実は私の知らぬところで、先輩が後輩に掃除をやらせていたらしいのです。
後輩は、先輩に言われて、いやいやトイレを掃除していたのでした…。

経験的にトイレ掃除の良さを知っていました。
しかしその良さを理解させないうちに、
なかば強制的にやらせてしまったのです。
これがそもそもの誤りでした。
そんな言葉足らずが招いた出来事でした。

そこで私は、自分自身は続けて行うが、
人に無理やりやらせることはやめにしました。
言葉ではなく行いで良さを伝えていこうと思いました。

人を変えさせようと思ってやっていたものが、
しかし続けていくうちに、自分の身になっていくのがわかりました。
それからというもの、誰にも強制せず、
私は一人でトイレ掃除をするようになりました。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『鍵山秀三郎さんのトイレ掃除』62

2011-06-01

掃除を通じて心の荒みをなくしていきたい。
そして豊かな人生を送ってもらいたい。

イエローハットの創業者、鍵山秀三郎さんは、
そんな思いからトイレ掃除を始めました。

掃除を始めたころのことです。
「うちの社長は掃除しかできない」
社員からあからさまに批判されたそうです。

それも、社員から直接ではなく他の人の口を通して聞いた話でした。
そんな声を耳にするたびに、何度やめようかと迷ったそうです。

誰かが手伝ってくれるわけではなく、
段々と孤立する自分がそこにいました。
むなしい、はかない、と思う毎日。

しかし、今日やめれば昨日までやってきたことが無駄になってしまう。
鍵山さんは迷いながらも黙々と社内のトイレ掃除を続けたそうです。

掃除を続けてから10年もの歳月が流れました。
鍵山さんの真剣なまなざし。
それを社員は毎日見続けていました。
すると一人、そしてもう一人…。
自ら営業車を掃除するようになってきたそうです。

鍵山さんは会社を設立して12年目にして、
10億円(今のお金で100億円)の借金を背負います。
取引先の会社を助けようとして、
その会社の社長にだまされてしまったのだそうです。
その借金はどうにか返済できました。

これほど多額な借金を返せたのは
「凡事徹底」のおかげなのかもしれません。

「凡事徹底」とは、
当たり前のことを人には真似できないほど一生懸命やるという意味です。

競争の激しい時代に、そんな悠長なことは言っていられません。
しかし鍵山さんは遠回りのようですが、
決して間違っていないという確信をもっています。

※出典は鍵山秀三郎さんの『日々これ掃除』『掃除の道』。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『第9回おやじ日本全国大会』63

2011-06-06
 


おやじ日本は、全国のおやじの会と連携を図りながら、
子どもたちを見守る運動を推進しています。
とても熱いおやじ達のあつまりです。

平成23年6月5日(日)に、
おやじ日本全国大会が渋谷区文化総合センター大和田で開催されました。

今回は「学校は社会の変化に対応できているか。そして親は…」
がテーマでした。

主文には、
「長引く景気停滞などでわが国を取り巻く状況はかってない厳しさ。その時代を担う“勉強ばかりではない、へこたれないたくましい若者”の輩出を期待。そのために一肌脱ぎたいと思う大人が社会の楽しさ厳しさなどを伝えることは大きな意義」
とありました。

子どもの教育は優しい愛情だけでなく厳しさもプラスされるべきでしょう。
悪いこと、特に命にかかわることをしたら、
厳しくしかりつけることは大事です。

例えば子どもがベランダから身を乗り出して遊んでいるとします。
落下すれば死につながります。
そんなときは降ろして尻を叩きます。
命を落とさないでよかったと安堵しつつ。
それほどの情愛が必要なんだと思います。

愛されていると感じている子は心が安定します。
自分を信じてくれている人がそばにいるだけで、
それだけで生きていけます。

子どもの気に入るようにふるまう大人が増えたとよく聞きます。
その真反対に自分の対面だけで虐待してしまう親も、
多いのではないでしょうか。

へこたれない逞しい若者にさせるには、
幼少の頃からの優しさと厳しさの両輪が大事です。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『空手の技を教えるだけが道場ではない』64

2011-06-11

空手道場ですから空手をうまくさせることは当たり前です。
しかし道場の子たちが“我が子”であるならば、
空手の技を教えるだけの道場にしたくありません。

そこで、毎年の恒例としてさせているのが「外掃除」です。
5月下旬から10日間、
板橋区が行う「春の板橋クリーン作戦」に参加します。

子ども達の気合いで迷惑をおかけしている近隣の掃除から始めます。
何日もやると、拾うゴミがなくなってきますので、
活動範囲がどんどん広がります。

指導員の白濱も、今日はどこへ掃除に行こうか考えたり、
交通事故を気にしたりと大変です。

公徳心、というのでしょうか。
それを重んじるためにも欠かせない行事になっています。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『わが身を挺した警官の記事』65

2011-06-14

私は新聞を読むのを日課にしていて、
これはと思うものは切り抜いて保存しています。

中でも、子ども達に読んでもらいたい記事は、
道場の掲示板に貼っておきます。

その記事の余白に必ず私なりの意見や批評を書き込みます。
私の物の考えを理解してもらいたいからです。

平成19年2月7日。
朝刊を読んで目に留まった記事がありました。

それは、東武東上線ときわ台駅で自殺願望の女性を救出しようとして、
はねられた警察官のことでした。

私は子ども達に常々
“自分の身を挺してでも”友達を助けるんだよと言い聞かせていました。
この記事はまさしくそのことでした。

身を挺して助けた人の、真に勇気ある行動が載っていたのです。
私はすぐに切り抜き、掲示板に貼りつけました。
救助の警官ひかれ重体2007.2.7.jpg
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『板橋の偉人』66

2011-06-15

この事故は平成19年2月6日に起こりました。

東武東上線ときわ台駅でのことです。
間もなく急行電車が来るホームに自殺願望の女性が入り込みました。

後を追って助け出そうとする警官。
ものすごい勢いで抵抗する女性の腕を引っ張って、
線路外に連れ出そうと必死でした。

近づく急行電車。
ホーム下の避難場所に女性を押し込もうとしましたが、
間に合いませんでした。

警官は女性をかばって覆いかぶさり、
二人とも車両の下敷きになってしまいました。
女性は助かりましたが、警官は6日後に息を引き取りました。

その警官の名は、宮本邦彦さん(警部、当時巡査部長)。
ぎりぎりのところで諦めて自分は助かっても、
非難されることはなかったでしょう。

しかし宮本さんはその女性のために我が身を顧みず助けました。
できることではありません。
そこが私たちの敬してやまないところなのです。

お葬式の席で、宮本さんの奥さんは次のように挨拶をしたそうです。
「夫の人間性、性格から考えて、
これも天命として受け入れようと努力しています。
お父さんの行動を誇りに思います」

宮本さんのことを一番理解してくれたのが、やはり奥さんでした。
こんな現代の偉人が板橋区にいたことを、私たちも誇りに思います。

 誠の碑 文.jpg
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『伏してぞ止まん』67

2011-06-16

女性を守ろうとして電車にはねられて殉職した宮本邦彦警部。
あの事故から一年が過ぎ、
宮本さんの勇気を後世に伝えようと一冊の本が出版されました。
「伏してぞ止まん ぼく、宮本警部です」という絵本です。
伏してぞ止まん ぼく、宮本警部です.jpg
この絵本からは、
他人と比較せず、自分にできることを諦めずに続けることの大切さ。
そして、真面目に愚直に、誠心誠意努力することの大切さが伝わってきます。
ぜひ読んでほしいと、地元の板橋第一小学校の図書室に置いてもらいました。

この絵本を出版した方は山口秀範さんです。
山口さんはもともと15年間、海外勤務をしていました。
しかし海外に比べ日本の子供に元気がないのを憂えます。
子供たちに偉人伝を語り聞かせて自信をもたせたい、
という思いから途中で帰国し退職。
そして平成9年に「寺子屋モデル」という会社を作りました。

山口さんは一周忌法要後、このように話されたそうです。
「まじめさや愚直さが軽く見られがちな今、宮本さんの生き方から、
誠心誠意尽くす大切さを教わった。
それを子供だけでなく大人にも伝えたい」

自分に自信が持てないと落ち込んだり、
新しい道に一歩踏み出せず悩んだりしている人に、
そして日本中の子供たちに伝えたいという思いで出版されました。
嘘やサギまがいがまかり通っている世の中、
愚直さこそ最も必要とされるものではないでしょうか。

「伏してぞ止まん」
これは宮本さんのお父さんの口癖だそうです。
精一杯努力したうえで、もう一歩踏み出し、
うつ伏せに倒れるまで止めるな、との教えです。
「いったん始めたからには途中で投げ出すなよ。
『伏してぞ止まん』だぞ、邦彦!」
おとうさんはこのように宮本さんを励ましたと絵本にありました。
宮本さんが我が身を顧みず女性を救ったのは、
まさにこの教えを守ったからでしょう。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『警視総監と絵本の筆者との対談』68

2011-06-17

職務に命をかけたお巡りさん。
人の心を動かした宮本邦彦警部。
あの事故以来、宮本警部の名前は頭の片隅にずっとありました。

宮本警部の勇気に学ぶ.jpg

平成20年3月。
読売新聞に
「宮本警部の勇気に学ぶ」と題する対談の案内記事が載っていました。

第85代警視総監伊藤哲朗氏と、
絵本の著者で㈱寺子屋モデル代表世話役社長山口秀範氏との対談です。

あの宮本さんの話が聞ける。
しかも警視総監と著者から聞けるなんて贅沢な話です。
これは行くしかない。
すぐに電話予約をしました。

対談は幼い息子たちにとって難しいかなと思いましたが、
何かしら感じ取ってくれるだろうと連れて行きました。

目黒区にある住宅展示場がその会場でした。
20名ほどが座れる部屋の一室に案内され、
親子4人は中ほどの席に座りました。

対談が始まりました。
ペンを片手に身を乗り出して聞いていました。
その内容は、やはり期待通り、私が大いにうなずくものばかりでした。

対談が終わり、質疑応答となりました。

私はガキのころから、おやじには、
男らしくなれと言われて育ちました。

弱い者いじめをしてはいけない。
もし目の前で悪い奴が弱い者いじめをしていたら、
ためらうことなく阻止しろ。
おまえはそのために空手を習っているんだからな。と。

もし相手が自分より強ければ、逆に私がやられてしまいます。
だけど、そこでおじけづいてしまうのは男としてみっともない。
だからやられるのを覚悟で、
腹をくくって「やめろ」と言って助けに入るのです。

そういう本当の勇気を持つようにと、道場の子供たちにも話しています。
しかし、私を信じて助けに入ったがために大けがをするかもしれません。
私が言ったばかりによその子供を傷つけるかもしれず、
内心は迷っていました。

私はその迷いを質問でぶつけてみることにしました。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『義を見て為ざるは勇なきなり その名回答 産経新聞に掲載』 69

2011-06-18

私は質問しながらも、私なりの回答を持っていました。
しかし、それを言葉に表せずにいました。
ただ漠然と、それができないようでは本当の男じゃないよな。
そう思っていたのでした。

すると……お二人より明快な答えが返ってきました。
私が求めていた言葉になって返ってきたのです。
ああ、それなんだよ!
と、手を叩きたくなるほど晴れやかで誇らしい気持ちになりました。

触らぬ神に祟りなし。
今の世はすべてにおいて事なかれ主義がはびこっています。

自分を守るために、さっきまでの仲間を次の瞬間、
ポイッと生け贄に捧げてしまう薄情さがあります。

他人を見下しバカ扱いします。
困っている人に同情や共感するのを面倒くさがります。

だからこそ、子ども達にはあえて、
正しいと思えることは損をしてでもやりなさいと言い続けたい。
小さきもの、弱きものを愛おしむ心を備えなさいと言い続けたいと思います。
宮本警部対談(産経新聞)
対談の模様が平成20(2008)年3月31日付産経新聞に掲載されました。
記事にある「会場の男性」とは私のことです。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『父親の覚悟』70

2011-06-19

東武東上線ときわ台駅の線路内に入った女性を助けた宮本警部が、
1週間後に亡くなりました。

その一年後、宮本邦彦警部の物語が絵本になり、
そして板橋で一周忌法要が営まれました。
本の著者、山口秀範さんも式に参列して、絵本をお供えしたそうです。

そしてまたその一年後に合わせて、山口さんが一冊の本を出版されました。
宮本警部の生き様にさらに深くせまった
『殉職・宮本警部が伝えたかったこと』です。
殉職・宮本警部が伝えたかったこと.jpg
山口さんからその本を、思いもかけずプレゼントしていただきました。
目次をめくると最終章の項に、
「大人の覚悟」という文字が目に飛び込んできました。
この言葉に興味を惹かれてページを開けました。

するとそこには「父親の質問」と題して、
私ども親子のことが書かれてあるので驚きました。

自分の身を挺してでも助けよと子供たちに教えていいものか…
あの問答のやりとりが書かれているのでした。
殉職・大人の覚悟①.jpg  殉職・大人の覚悟②.jpg  殉職・大人の覚悟③.jpg

私の質問に対して山口さんはこのように答えてくれました。

先生の教え、大人の教えというのは、時に、子供の将来を左右するほどに重いものです。ですから、教える側はよほど心しなくてはなりません。心しつつ、そのうえで自分が信じるところを教える。それ以外にないと思います。(中略)あなたが信じることを教え、教えを守った子供が、それによってケガをする、あるいは万一のことになる。そんなことはだれも考えたくはないが、可能性はゼロとはいえない以上、教える側は覚悟をもって毎日子供に接するしかない、そういうことではないかと思います。

心の中でそう思ってはいました。
でも言葉にいい表すこともできませんでした。
山口さんから言葉をもらい、
改めて「覚悟」を決めて子供たちと接するぞと誓ったものです。

この本が、子どもの教育で悩める人に、
一歩前に踏み出す勇気を与えてくれた気がしました。
本当にありがとうございました。


ちなみに「幼い男の子と女の子の姿が見えました」とありますが、
「女の子」というのは次男坊のことです。
髪の毛が長かったせいか女の子に間違われたようです。
また「眠った子供」は三男坊です。
親子4人で対談に参加しておりました。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『警視総監のお話、そして山口さんからのお手紙』71

2011-06-20

当時の警視総監、伊藤哲朗さんからも、
つぎのようにお答えいただきました。

警察官の命懸けの任務と人命尊重とは時として矛盾しますが、矛盾を抱えたまま行動せねばならない時もあるわけです。指揮官として殉職させないようにするのですが、それを恐れているようでは何もできません。矛盾がはらんでいますが矛盾が解決するまで動かないということでは物事は進みません。矛盾は矛盾のままいくしかないという場面もあるのです。

本の著者、山口秀範さんはこの本で次のように語っています。

身の危険をおかしてでも、覚悟をもって臨まなくてはならないことがある。幼い兄妹の親御さんが発してくれた質問によって、勇気、覚悟、自己犠牲という、ふだん親しむことのない言葉が、この会場を埋めた人々の心の奥底に沁み通っていくのが肌で感じられました。

まじめや愚直さを、何かおしゃれでない、ドンクサイことのように考える風潮があります。地道に努力し続ける人を要領の悪いやつと見くだしたり、本気になって物事に取り組む姿勢を嗤ったり、不正を許さない潔癖さを「青くさい」と小バカにしたり、「立派」であろうとすることが現代的・都会的ではないように思う空気が濃厚に広がっているのを感じるのは私だけではないはずです。
そんな今こそ、宮本さんの誠心誠意を尽くす生き方を、子供だけでなく、大人にも伝えたい。悩みがあって一歩踏み出せずにいる子供たちに宮本さんの優しさと勇気を感じてほしい。
かすり傷ひとつ負いたくない世の中に、宮本さんは錐(きり)のように鋭い穴を開けたのです。
宮本さんは亡くなりました。しかし、その魂は多くの日本人に宿っています。そして、これからも「第二、第三の宮本さん」は続々と現れる。私たちが日本人であり続ける限りは……。


その後、しばらくして山口さんからお手紙が届きました。
それによると山口さんは学生時代に、
体育会の空手部に一年在籍して日々稽古に明け暮れたそうです。
考え方しかり、空手しかり、たった一度しかお会いしていませんが、
とても身近な存在となりました。

山口さんはその手紙の最後に
「本当の勇気と優しさをしっかり伝えてください」とメッセージを添えてくれました。

私は、使命と覚悟を改めて感じつつ、
わかりました。と、心で答えました。

株式会社寺子屋モデル

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『イイ話は子どもに聞かせましょう』72

2011-06-21

実は宮本さんの事故の11日前に、
JR上野駅でもホーム転落者の救出劇がありました。

偶然ですが、韓国人留学生らの救出・死亡事故が起きたのも、
6年前の同じ日でした。

JR上野駅で救出活動した人は、
韓国人留学生を題材にした映画の原作を読み終えた直後だったそうです。

人助けはできるようでなかなかできません。
ふだんから思っていないとすぐには行動がとれないものです。
しかも自分の命にかかわることならなおさらです。

この人は常に身を賭してもやるんだと思っていたのでしょう。
救出した方に共通するのは何事も一生懸命で、
弱い人を見ると放っておけない人のようです。

ある物事に刺激を受けて行動意欲が湧き立つ、
ということがよくありますよね。

下種な話ですが任侠映画を観終わると肩で風切って歩くでしょう。
そんなときは、弱い者いじめしちゃいけないよとサラッと言えたりします。

そう考えると、
偉人伝やイイ話は子供たちにどんどん聞かせてあげることが大事です。

以前もお話ししましたが、これはと思ういい記事は切り抜いて、
掲示板に貼って子供たちに読ませています。
JR上野駅での救出活動記事も、
次のようなコメントを書いて貼っていました。

義を見てなさざるは勇無きなり
いつも“オレは強い”といばっていても
イザ!という時に何もできない様ではダメ。

ホーム転落3人で救出.jpg
ふだんカッコいいこと言っている人が、
イザとなったとたんに尻込みしてしまうのはみっともないですよね。

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『道場の子ども達にも水かぶりを』73

2011-06-24

新たな出発を誓う恒例行事の水かぶり。
息子達とともにやることができました。
平成20年1月6日のことでした。

厳冬にぶるぶるふるえながら冷たい水を頭からかぶる。
身が引き締まるようなことをするなんてことは、
めったに経験できるものではありません。

さて建武館の年少部には「特別クラス」というクラスがあります。
不断の努力で対外試合でもまれ、
俺も思い切り突くからお前も突いてこいよと切磋琢磨するクラスです。

組手に特化してやっていれば強くはなります。
でも、それだけでもって特別か?
いろんな経験させたいじゃないか。

よし、奴らにも水かぶり、経験させてあげるか。
道場で教えるものは、空手の技だけでなくていいじゃないか。

そんなことで、
特別クラスの子ども達にも水かぶりをさせることにしました。
決行日は、大寒。

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『熱いハート、深い絆 届け福島へ、日本へ』74

2011-06-26

いよいよ本日、第8回建武館キッズが開幕します。

伝統派からフルコンタクトへ。
平成15年に入りようやく稽古にも慣れてきました。
そろそろ試合の経験をさせる時期が来ました。

まずは試合ルールや礼儀作法などを体験するための機会を作ろう。
“練習試合”ということで経験を積ませることにしよう。

これがキッズ大会の始まりです。
今年で8回目を迎えることができました。

キッズ大会では毎年テーマを掲げています。
今年の大会テーマは「勝っても負けても勉強だ」です。
負けて勉強になることもある。
恐いけれど前に出る、そんなキミを心から応援します。

福島県田村市に住む、拓大の後輩、郡司弘光。
彼は建武館福島支部として子ども達を指導してくれています。

大震災の爪痕が残り、生きることも精一杯で、
長らく空手の指導はできませんでした。
しかし、5月の下旬、
郡司や保護者の皆さんの努力で再開することができました。

福島支部の子ども達に元気になってもらいたい!元気な顔が見たい!
そんな想いから、建武館理事会の心温まる篤志をもって
子ども達を招待する方向で進めました。

しかし、現実はそんなに甘くありませんでした。
いまだ原発も収束していません。
余震が多く、避難する可能性もある中で、
子ども達が離れることがどれだけ保護者にとって心配か…。

子ども達を招待する計画は取りやめましたが、
万難を排して郡司が来てくれることになりました。
今年の大会は、いろんなものを「勉強」させてくれる
大会になるのだと思います。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『負けた時どんな行動をとるか』75

2011-06-27

建武館キッズ大会が閉幕しました。
今年は板橋1小が新校舎を建設中のため、
板橋1中の体育館をお借りすることができました。
校長先生はじめ、板1中に関係する皆様方、
このたびは本当にありがとうございました。

新空手やキックボクシングの試合は、
けんかでもしているんじゃないかと思うほど殴り合っています。

だけど、いざ試合が終わると、
本当に爽やかな笑顔で握手したり抱き合ったりしています。
トップレベルの戦いでよく見られる光景で、
見ている我々はとても感動します。

相手がキライだからとか、にくたらしいからではないはずです。
なんであんなことができるんでしょう。
本当に不思議な世界です。

そもそも、キッズ大会は何のためにするんでしょう?
その目的はいくつかあると思いますが、私から1つだけお話します。
それは、負けた時どんな行動をとるか、どんな気持ちになるか。
そういうことを勉強する場だというものです。

今大会は14階級ありますので、勝ち終われるのはたった14人だけ。その他の人はみな負けを経験します。
ずいぶん昔の話ですが悔しがってグローブを投げつけた人がいました。
対戦相手の勝利をねたむ人もいました。
他人の「誇らしい部分」をねたむのは
「嫉妬する」といってカッコ悪いことです。
反対に、素直に人を認めることができる人はカッコいい人です。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『本気の殴り合いから本物の友情』76

私はEXILEというダンス・ユニットが好きです。
なぜ好きかというと、
人の成功を嫉妬したり、足を引っ張ったりしないからです。
メンバーを尊敬し、メンバーにいることに誇りを持っているからです。

売れなくてお金のない時は一杯の牛丼をみんなで食べて、
苦しい時も一緒に乗り越えたと聞きました。

今の世の中は、本物の友情は築きにくい感じがします。
面従腹背で、一夜にして仲間を裏切る薄情さがあります。

中途半端な殴り合いしかできない仲では、
殴り合ってもねたみや恨みだけしか残りません。

キッズ大会の試合は、
けんかでもしているんじゃないかと思うほど殴り合っています。

ぜひ、みんなには、殴り合って、殴り合って、本気で殴り合ってほしい。
だけどその後にさわやかに握手ができるような仲間を作ってほしい。
本気の殴り合いを通してつかんだ友情は本物だと思うからです。

学校の先生方も駆けつけて熱い応援をしてくれました。
感激です。
建武館を思ってくれる方々が時間のない中なのに来てくれました。
感謝です。
ご来場の方々のご厚志で大会が開けたことを感謝しつつ、
閉会のごあいさつといたします。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『寒中みそぎ』77

2011-06-28

大寒は、一年で最も寒さが厳しくなるころとされています。
武道の世界では、この寒い時期に寒稽古を行います。

水をかぶるなら、一年で一番寒いといわれる大寒の日に。
日本一を経験させたいと常々思っていましたので、この日を選びました。

建物の一角が駐輪スペースとなっています。
そこを水かぶりの場所としました。

一通り稽古が終わると、外はもう真っ暗です。
そこで、白熱灯に延長コードをつないで明るくしました。

大きなたらいに水をたっぷりと汲んでおきます。
外気はとても冷たく、風が吹くと体感温度がぐんと下がります。

指導員とともに子ども達は外に出て、上半身はだかで素足で並びました。
足裏からアスファルトの冷たさが頭のてっぺんまで伝わってきます。

さあ特別クラス「寒中みそぎ」の始まりです。
もちろん彼らにとって初めての体験です。
果たしてどんな強がりを見せてくれるでしょうか。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『水をかぶって心身鍛える』78

2011-06-29

建武館の子ども達にも冷水を浴びる経験を…。
どうせやるなら、ということで大寒の日に行うことにしました。

稽古を終えて掃除を済ませ、いよいよ寒中みそぎの始まりです。
日が落ちた寒空のもと、上半身はだかになって整列しました。

一人ずつ大声で今年の誓いをたてます。
そして桶についだ冷水を頭からザバーッとかぶります。

すると、一気に体温が奪われ、
体中の筋肉が緊張して縮こまってぶるぶる震えます。
あごの筋肉まで震えて歯がガチガチ鳴るので、
しゃべることもできなくなります。

それでも強がって、平然としています。
こういうガマンがいいんですね。

冷水を浴びて心身を鍛える。
浴びると体だけでなく心も清められた気がします。

楽しいイベントも大事。
だけど、こういうことも大事です。
大人が仕向けなければ子どもは経験できませんから。

浴びて着替えると、お母さん方は温かい汁物を作って待っていてくれました。
みんなでふうふう言いながらごちそうになりました。

子ども達の笑顔を見て、新年恒例の行事にしようと心に誓いました。
大人達は寒くて厳しいだろうけど。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『カッコいい男 マンガで学ぶ』79

2011-06-30

殴り合いを通して培った友情こそ本物です。
でもそれは昔の話。
今、殴り合いをしたらもっと仲が悪くなってしまいます。

中途半端な仲で中途半端な殴り合いをするからでしょうか。
殴り合う理由や原因が、
くだらない、情けないものになってしまったからでしょうか。
あこがれや理想とするものが時代とともに変わっていったからでしょうか。
それとも気骨のある男が少なくなったからでしょうか。

あこがれの対象は、親からの話や本などからの影響に左右されるものです。
したがって、子どもに何を言うか、何を読ませるかは大事なことです。

本といっても難しいものでなくてもいいんじゃないかと思います。
私の場合、“マンガ”から入りましたから。

ガキの頃、“カッコいいなぁ”と読んでいたマンガはいくつもあります。
中でも本宮ひろ志が描いた「大ぼら一代」や横山光輝の「あばれ天童」は、
心躍らせて読んでました。
 
あばれ天童は兄のものを借りて読んでいました。
主人公の山城天童が、当時の兄にどことなくタイプが似ていて、
兄とダブらせて読んでましたね。

天童のケンカには「義」がありました。
だからケンカをしても禍根を残しません。
そればかりか、彼を慕ってついてくる者も出てきます。

さて少年よ、青年よ、そんなケンカが存在することを知っているか?
そんなケンカをしたことがあるか?

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi
日本空手道建武館 館長
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『負けはワクチン投与?』80

2011-07-09

建武館はメジャーな道場ではありません。
それだけに大会も華やかではありません。

したがって大会は稽古と同じような位置づけにしています。
道場から体育館に移動して稽古しているようなものです。

大会での組手は、例えば学校の中間・期末テストのようなものです。
大会で負けを経験することは、
例えば予防接種で“ワクチンを投与する”ようなものです。

つまりどういうことか。
ワクチンは病気に対する免疫をつけるために投与します。
小さなばい菌をわざと注射することで、
より体を強くさせるためにやります。

だから……、
小さな挫折を経験させて、より心を強くさせるためにもあるのです。
そう思って試合をさせています。

ですので、負けることも勉強になります。
いっときは嫌な気持ちになるけれど。

大会で勝つとか負けるとかはゴールではなく、あくまで通過点。
心を強くしていくことのほうが重要なのです。

…続く。

第8回建武館キッズ大会は、J:COMデジタル11チャンネルで7月10日(日)まで放送中です。
番組名「めっけタウンいたばし・東上」
板橋区、朝霞市、志木市、富士見市、ふじみ野市、三芳町のエリアで視聴できます。
http://www.myjcom.jp/tv/channel/detail/itabashi-tojo.html

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員 介護予防サポーター
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『勇気と感動をありがとう』81

2011-07-10

この震災で人のはかなさを思い知らされました。
しかしそれとともに、
日本の持つ素晴らしい心根を揺り起こしてくれたようにも感じます。
日本人が忘れかけていた「公徳心」というものを、
よみがえらせてくれた気がしたのです。

もちろん、略奪や詐欺などが横行したのも事実です。
しかし、これほどボランティア、義援金、節電に、
心がけたことがあったでしょうか。
その素晴らしい部分が、
負の部分を打ち負かしてくれたのだと感じられました。

「団結力」もまた育てられました。
“避難民だ”などと心ない発言をする偏見や風評もありました。
しかし、巷やメディアでこれほど多く、
「心一つ」の文字を見かけたことがあったでしょうか。

自分だけよければいい、という利己的な考えが蔓延するのが、
今の世の中です。
そんな中で「公」や「人のために」という大切さを訴えてくれました。
いろんな人達がいろんな形で心を一つにすることの大切さを訴えたのです。
同じ日本人として誇りに思います。


建武館理事長の村田氏はいつものことながら、
子供たちに特段の愛情で大会を支えていただきました。

常任理事の重田氏はチャリティ弁当と称して、
利益のすべてを福島の子供たちに寄付してくれました。

建武館キッズ大会は、
このような篤志家の存在で開催できるのだということを、
夢寐にも忘れません。

キッズの熱い戦いが繰り広げられました。
痛くても、怖くても、前に出る姿が、
来場したみんなに感動を与えたことでしょう。
その熱戦の数々が、私たちに勇気をもたらしてくれました。
キッズよ、ありがとう!
おわり。

キッズ大会の関連コラム
1.ナビット福井泰代さんと大会テーマ 
2.熱いハート、深い絆 届け福島へ、日本へ 
3.本気の殴り合いから本物の友情 

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員 介護予防サポーター
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『校長先生の粋な計らい』82

2011-07-11


6月12日に開催された第22回全日本新空手道選手権大会 K-2グランプリ。
建武館チャンプ4選手が登場の、
CS放送GAORA「格闘KING」が放送されていますのでぜひご覧ください。

さて、空手はまだまだメジャーなスポーツではありません。
それどころか野蛮で喧嘩の道具と斜めに見られてしまうところがあります。

空手を習っている者が喧嘩でもしたら“ほらやっぱり…”
とたんに空手が悪者になります。
つらいところです。

こんな感じですので、
よい話題もあまり取り上げてもらえず日の目を見ることがありません。
たとえ素晴らしい活躍をする人がいても、
表舞台に立つチャンスがありません。

そんな中、とても嬉しいお知らせがありました。
小学校の朝礼で校長先生が、
K-4チャンピオンとなった太陽君の勝利を表彰してくださったのです。

校長先生はスポーツに理解があり、
子どもの努力を評価してくれる方と聞いています。
だからこそ、このように取り上げてくれたのでしょう。
とても粋な計らいでした。

その後、地元板橋1小の校長先生も、
朝礼でキッズ大会での健闘を称えていただいたそうです。

揚げ足取りやうらやましがり屋が横行する世の中で、
人の美点を見てあげることはよい教育です。

たとえ小さなことでも、
その子にとってはとても誇らしい思い出となって記憶に残るでしょう。
子ども達のモチベーションはグンと上がったことでしょう。
校長先生、有難うございました。

…おわり。

例年は東京武道館の大武道場ですが、
震災の影響で新宿FACEでの開催となりました。
しかも畳の上ではなくリングで戦いましたので、
大会のイメージが例年とは異なります。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
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『協力雇用主になる』83

2011-07-20

協力雇用主になってみないか?
兄の竹馬の友であり、建武館の良き理解者で篤志家の、
村田昭浩さんが持ちかけたお話。

村田さんは事業で大変忙しい傍ら、保護司などをされています。
保護司は保護観察官の職務を補う役目で、
犯罪や非行に陥った人の更生を支援しています。

ちなみに保護司は法務大臣の委嘱を受けた国家公務員です。
国家公務員ではありますが、
俸給などありませんのでまったくのボランティアです。

協力雇用主も、犯罪や非行に陥った人を積極的に雇用し、
その更生を支援する地域のボランティア。
それをやってみないかというのです。

犯罪や非行をした人が立ち直るためには,
就労し生活の安定を図ることが大変重要です。
しかし,こうした人々は,
その前歴ゆえに定職に就くことが必ずしも容易ではありません。
協力雇用主はこうした人々を差別することなく積極的に雇用し,
その立ち直りに協力します。

立ち直りは仕事に就かせることも大事だが、
再犯させない強い心を根付かせることも大事。
だから、雇用と空手指導の両面で立ち直りに協力してくれないか、
そう熱く語ってくれました。

それなんだよ!

村田さんの言葉がすっと胸に入りました。

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財団法人日本体育協会公認上級指導員 介護予防サポーター
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『協力雇用主の新しいかたち』84

2011-07-21

体力をもてあましている血気盛んな若者に、
そのエネルギーを使ってもらう。
それがきっかけで非行や犯罪に走らず、
まっとうな仕事をやってみようと思うかもしれない……。

村田さんは協力雇用主を勧める理由をこのように話してくれました。
彼らをまったく別の角度から支えるという提案は、
とても新鮮でやりがいのあるものでした。

自分自身、体を動かして感じることがいろいろあります。
それは、この提案がうまくいくだろうと思えるような、
空手の実効性を予見できるものばかりです。

たとえば仕事のトラブルで気持ちが落ち込んだり疲れたりしても、
指導で道場に行かなければなりません。
重い足取りで指導を始めますが、
ひとしきり汗をかいて動き終わってみると、
気持ちはスッキリ高揚しています。

ほんとうに、こまかいことに気を患っていたのが、
ばからしくなるくらい大らかな気持ちになれます。
そして人の意見などを肯定的に聞き入れることができるようにもなれます。

また、自分を律するという習慣を身に着けることもできます。
薬やギャンブルに依存してしまう者も自分を厳しく律することを覚えれば、
自分を変えることができます。

このように、空手の効用は実に多いのです。
村田さんのこの提案は、
協力雇用主の新しい切り口、かたちとして確立されるかもしれません。

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『欠点を長所とみてやる』85

2011-07-22

協力雇用主会で知り合った方から教わったことばがあります。
それは「欠点を長所とみてやる」というものでした。

  喧嘩っ早い子どもが数人を相手にケンカした。
  ある人が、
  「この子は手が早いから格闘技に向いている」
  と格闘技を勧めた。
  手が早いことを欠点ではなく長所と認めてあげた。
  認められれば嬉しい。
  その子は格闘技を一生懸命やった。


こんなに嬉しいことはありませんよね。
だって、いつもだったら避けられるか悪者扱いされるところなのですから。

手が早いと子どもを近づけさせないようにしようとするのが世間です。
冷ややかな目で見られ続ければ
“どうせオレなんか…”と卑下して劣等感を抱くかもしれません。

劣等感を引きずって生きていけばまた過ちを犯すと言われています。
だからこそ罪を許し、そして自信を持たせる、
というのが大事だというのです。

美点凝視。
ということばがありますね。

人のいいところを見てあげる。
するとその人を好きになる。というものです。
指導者の端くれとして、この言葉を肝に銘じてやっていきたいと思います。

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『努力する仲間が集う居場所』86

2011-07-23

人は劣等感をもって生きられません。
だからそれを解消するための行動をとります。

ある人は好きなものに打ち込みそこから得た自信で劣等感を解消します。
しかしある人は、羨ましい対象者の足を引っ張ったり、
反論できない弱者をけなしたりして心の安定を求めます。

前者は自らの努力によるものですので自分自身が向上します。
しかし後者は自分が向上しないばかりか人の心を傷つけてしまいます。

後者は自分の心の平静を保つために、
自分の居心地が悪くならないようにするためにとる行動です。
だから、けなされた人がそのあとどうなってしまおうが、
知ったことではありません。

このように劣等意識が高じると、他人を傷つけてしまうこともあるのです。
大変危ういです。
劣等感を持つ人が努力をする方を選ぶことが、
いかに大事であるかがわかります。

しかし、努力というモチベーションを維持し続けるには、
自分ひとりの力では難しいものです。
それだけに同じこころざしを持つ仲間が必要です。
その仲間が集まる居場所が必要なのです。

努力をする人たちと交われば感化されて自分も努力するようになるでしょう。
麻の中の蓬、ですね。
道場に来れば努力する人たちがたくさんいる。
そういう環境を作ることが私の役目です。

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『再犯しない強い芯を作る』87

2011-07-24

理事長の誘いで、建武館の運営母体がこのたび
「協力雇用主」に仲間入りをさせていただきました。
再犯しない強い芯を作ろうというのが狙いです。つまり、
体力をもてあましている血気盛んな若者に、
そのエネルギーを使ってもらおうということです。
非行に走ることが馬鹿らしくなるほど、
みっちり体を動かしてもらおうということです。

この、就労支援と体を動かして心を元気にさせることを、
並行して行うのは素晴らしい取り組みです。
この話を受けたとき、建武館ならできる!そう思いました。

というのも、道場には自分を高めようと努力する人がおおぜいいるからです。
そういう人に混じれば感化されて自分も努力する人になれるからです。

しかしそれだけではありません。
さらに道場でやることによって、
卑怯なことはやってはならぬと思うようになれるからです。

悪さをすれば弱い者が困ります。
それを知ってて悪さをしてしまうか、
ぐっとこらえることができるかは卑怯の二文字が頭にちらつくかです。

もし彼らが道場に来たら切磋琢磨したいですね。
そしてしっかり稽古を積んで、
二度と馬鹿なまねはしないと誓えるようになってもらいたいですね。

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『おふくろの足が弱まり筋トレを勧めるのだが』88

2011-07-26

おふくろは年齢のわりに背筋がシャキッとしていました。
ところが会社のお手伝いをしなくなってから出歩く機会が減り、
徐々に足腰が弱まり始めました。

軽くでいいから運動しようよ、と勧めるのですが、
どうしてもうなずいてくれません。
運動経験のないおふくろにとって筋力低下を運動で食い止める、
というのはハードルが高すぎるようです。

どうしたものかと困っているとき目についたのが、
板橋区が発行する広報紙の募集記事でした。
そこには「介護予防サポーター養成講座の第1期生募集」とありました。

ところで、介護予防サポーターは公的な資格ではありません。
地域でのボランティア活動として、
介護予防への取り組みが広がるよう支援していくものです。

講座内容には、転倒予防トレーニング、低栄養予防プログラム、
音読と計算、爪・足のケアなど。
とてもメニューが豊富で、
おふくろを説得させるにはもってこいの内容でした。

おふくろに「介護」という言葉は可哀そうだけど、
いつまでも元気でいるために介護予防は重要です。
私はすぐに応募しました。

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『おふくろを運動させるための受講』89

2011-07-27

介護予防とはつまり、介護を要する状態にならないようにすることです。
その介護予防の取り組みを支援するのが介護予防サポーターです。

板橋区ではこの介護予防サポーター養成講座が初の試みで、
6回シリーズで行われました。
平成16年10月18日に初日を迎え、板橋区在住の17人が受講しました。

受講理由を一人ずつお聞きすると、
すでに介護についての何かしらの取り組みをされている方ばかりでした。
私はおふくろをどうにか運動させるために受講しましたが、
そんな個人的理由で受講するのは私一人でした。

皆さんは介護のお仕事やボランティア活動に役立つために、
熱心に聞いていました。
私はというと、これならおふくろはやってくれそうだな、
などとおふくろの攻略のしかたを探っていました。

おふくろは元来、運動習慣のない人なので、
やる気になってもらうのは至難の業です。
それに私に似て、いや私が似たのですが、
とても頑固者なので、一筋縄では行きそうにありません!

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『きんさん ぎんさん筋トレの説得力』90

2011-07-28

痛いから動かない、動かないからよけい痛くなる、という悪循環。
それをどうにか断ち切ってあげたい。
その思いで介護予防サポーター養成講座を受けました。

元気でハツラツとしたおふくろのままでいてほしいのは、
息子として当たり前です。
だけど運動経験がなく、ちょっと頑固なおふくろを、
運動させることは難しかった。

もう少し早い段階からおふくろにアプローチしておけばよかったですね。
病気と同じように、早期発見、早期治療が大事ですから。

ところがそうは言いますが。
皆さんは、きんさんぎんさんを覚えていらっしゃいますね。
あのお二人は100歳を超えてから筋トレに励んだのです。

実は、テレビCMに起用される前は少し認知症があったようです。
しかし爆発的な人気で引っ張りだこになり、
取材を受けるうちに症状が改善されてきました。

さらに、下半身の筋力アップのトレーニングを積んだことで、
より効果を高めたそうです。
このように下半身の筋トレは、
体のみならず脳へも有効であることが実証されたのです。

これはおふくろへのアプローチとしては、かなりの説得力がある。
しかしおそらく一人では続かないだろう。
あとはいかにそういう場を作れるか、でした。

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『足の筋肉 第二の心臓』 91

2011-07-29

筋トレの必要性を知るために、体の仕組みを簡単にお話しします。

血液には栄養分や酸素がいっぱい含まれています。
脳や内臓や筋肉はそれをとても欲しがっています。

そこで、心臓がポンプとなって、
血管というホースを使って血液を送り込んでいます。
血液は働き者で、内蔵などに栄養分や酸素を手渡すと、
代わりに老廃物を引き取ってくれます。

働き者の血液は、足元までたどり着くころには、
老廃物まみれでクタクタになっています。
早く腎臓まで運んでろ過してきれいにしなければなりません。

ところが心臓のポンプは、
足元まで来ると重力に逆らって押し上げるだけの余力はありません。
どうしたらいいでしょう。

そこで登場するのが、
ふくらはぎやハムストリングスなどの足の筋肉です。

ここらあたりの血管には
“静脈弁”という逆流を防ぐかしこい弁が備わっています。
ホースをギュッと挟んで押すと、
一方通行でシュッと上昇するような感じですね。

筋肉が収縮すれば血管が圧搾されます。
圧搾されれば血液がシュッと押し上がるわけです。

つまり、ふくらはぎなどの筋肉が、
心臓の代用となって押し上げてくれているのです。
とても大事な筋肉だということがおわかりいただけたでしょうか。

きんさんぎんさんも下半身の筋力トレーニングに励みました。
その結果、認知症の症状が改善されたことについては前回お話ししました。

転倒、認知症、尿失禁などの予防のためにも、
足の筋肉を鍛えたほうがいいのです。
介護を必要としないためにも、下半身をしっかり鍛えましょう!

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『定年を迎える前から運動を』92

2011-07-30

2011年6月に改正介護保険法が可決されました。

現行では、ヘルパーの訪問が1日1回だけなので、
独居高齢者は自宅生活に不安を感じていました。
それゆえ特養老人ホーム入居を迫られ、
よって入居待機者が42万人に上ってしまったのです。

可決された背景には、
この待機者をどうにか減らしたいというものがあります。
施設で受ける介護のような24時間対応が可能となれば、
住み慣れた自宅でも安心していられるでしょう。

この可決で期待することがあります。
それは、これまで保険給付外だった生活支援サービスが、
今後は併せて提供できるようになることです。

つまり、介護予防のための「見守り」などのサービスが、
総合的に手掛けられるようになります。
よってそういった介護予防のサービスが充実するものと思われるのです。

しかし私はそれだけでは不十分、
もっと先回りしなければならないものがあると感じます。
おわかりでしょうが、
それは「介護を要する状態にならないようにする」ことです。

私の推奨は、
「定年を迎える前」から元気で居続けるための運動をするということです。
年金の受給年齢が65歳に引き上げられるので、
いつまでも元気に仕事ができなくてはならなくなりました。

いいですか。45歳を過ぎると足腰はガクンと衰えます。
ですので、だからこそまだ元気なうちに、
適度な運動を徐々にしていくことが何より重要なのです。

今まで運動経験のない人が、いざ急にやり始めれば、
それは過度なストレスとなるだけです。
より不健康になってしまいます。

介護の世話になりたくない!だけど靴下を“片脚立ち”で履けない…
という人は運動を考えるときです。
筋力に衰えを感じたら、それがシグナル。
そろそろ重い腰をあげる潮時かもしれません。

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『二人の母から運動の大切さを学ぶ』93

2011-08-02

おふくろは背筋がピンと伸びていて年の割には若々しく感じられました。
ところが外出する頻度が減ると、足腰が急に弱くなってしまいました。
私が気にして「一緒に運動しよう」と勧めましたが、
動くと痛くなるという悪循環で、継続は困難でした。

数年前、女房のおっかさんが脳梗塞が原因で意識を失ってしまいました。
意識もありませんのでもちろん体も動かない日々が続きました。
するとたった一週間でふくらはぎに触れると揺れて、
これが筋肉?と思うほど無くなってしまいました。

体のあちこちが痛いと言い始めてからでは遅い、
ということをおふくろから学びました。
人の筋肉は使わなければいとも簡単に無くなってしまうことも、
おっかさんの病気でまのあたりにしました。
この出来事は残念であり辛いものでしたが、
今になってみればとても役立つものになったのでした。

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『褒めてあげられる親の幸せ』94

2011-08-03


建武館では、年に3回、春、夏、冬に審査を行っています。
この時期は夏の審査。
年少空手コースは8月1日から審査が始まりました。

初めて審査を受ける子の中には、
相当な勇気を振り絞って受ける決心をした子もいたでしょう。
その勇気を讃えたいと思います。

組手で殴られれば痛い。蹴られたらもっと痛い。
それを歯を食いしばって我慢している姿をみると、
“よく頑張って耐えたな”と抱きしめてやりたい。

道場はガラス張りになっていて外からも中の様子を見ることができます。
しかし、中にいないと感じることのできないものがあります。

それは、子どもたちの息遣いです。
蹴られたときの鈍い音も聞こえないかもしれません。

大きくて力強い子が相手の太ももめがけて思い切りローキックをすると、
床はかすかに揺れます。
床に座って見学しているお母さんなら、
そのかすかな振動を感じるかもしれません。

その振動を威力に置き換えることができたとき、
どれだけ痛かったのだろうかと察することができます。
特に、我々は、その痛みを経験しているだけに、
音や振動で、我がことのように痛みが伝わります。

道場の中に居れば、その痛みに耐えて、耐えて、
心の中では泣き叫びたくても表情には出さず。
懸命に堪えている心境が読み取れるので、
もう少しで終わる、辛抱してと、心から応援できるのです。

だから、たとえわが子が、組手で殴られ蹴られして後ずさりしたとしても。
傍から見れば無様な姿に映るかもしれないけれど、
温かい拍手を贈ってあげることができるのです。

よくぞ頑張った!
そう褒めてやることができるのです。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員 介護予防サポーター
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『でべその劣等感が正義感に変わる』95

2011-08-04

私のへそは少し出ています。
唐突ですが。

でべそではありませんが、小さい頃はとても気にしていました。
人から「でべそ!」とからかわれると、
もう、恥ずかしくて恥ずかしくてしかたありませんでした。

友達から銭湯に行こうと誘われると、何かしら理由をつけて断りました。
断る理由が見つからなくなると、もう観念して付き合うのですが、
ばれないように、へそに絆創膏をつけて入りました。

学校のプールはもうあきらめるしかなく、
水泳パンツをギュッと上げてへそを隠しました。
泳いでいるうちに下がってしまうので、
プールサイドに上がる時はいちいち持ち上げていました。

なんでそこまで気にするの?と不思議に思うでしょう。
今考えるとほんとうにバカげた行為ですよね。
しかし当時の私にとって、へそを見せることは、
恥部をさらすことと同じくらい恥ずかしいことでした。

なんでそうなってしまったのでしょう。
よくわかりませんが、おそらく当時の私は、
劣等感のかたまりだったのかもしれません。

そんな私に、おやじは少しずつ、
自信を持たせるような褒め言葉をかけてくれたのでした。
いつからかは覚えていませんが、
少しずつ自分に自信が持てるようになってきました。

だから、だと思いますが、
からかわれたりいじめられたりしている子の気持ちが、
私には少しわかりました。
ですので、そういう仕打ちを受けている子を見ると、
とても可哀そうでなりませんでした。

偉そうに人を小ばかにしたり、
寄ってたかって弱い者いじめしたりする者に出くわすと、
無性に腹立たしくなって、体中の血液が頭に集まってカッカしてきたのでした。
もう条件反射ですね。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
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『良い点を認めて 弱い者の味方の道場に』96

2011-08-05

良い点を伸ばしてもらって、私は自信がつきはじめました。
人の良いところを見てあげることがいかに大事かを、
身をもって知りました。

自信が持てない子も、
言葉かけひとつで自信が持てる子になれるんだろうなと実感しました。
そのためには良い点を見つけてあげる心の目が大事なんですね。
それを指導にも活かそうと思いました。

大事なことは何より建武館そのものが
「弱い者の味方の道場」となることです。
弱い者いじめは許さん!という“におい”というか、
ムードを作り上げることです。

それには我々指導者も「弱い者の味方」を心がけて、
その姿を指導の時に表すことが肝心です。
一緒に組手をやって、いいところを見つけたら、
すかさず「いいね!」と言ってあげます。

道場全体に、良い点を見てくれている!という雰囲気が伝わるはずです。
それを横で聞いている上級者の子ども達も、我々のまねをするものです。

その反対もありえます。
我々が「お前、ダメだなぁ」という態度をとると、
それもまた子ども達はまねをします。
組手でガツンとやって、「どうだ、強いだろ」と、
自分の強さを誇示してしまうのです。

指導者の影響力はとても大きい。
欠点を指摘するよりも、良い点を認めてあげるということが、
いかに大事か。
子ども達を、弱い者いじめする人にさせないための指導なのです。

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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
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『心の部分での強さや配慮』97

2011-08-06


年少審査の最終日を迎えました。
階級の上位者が受ける日です。

審査では、上の級になるにしたがって、
技の手本を示せることが求められてきます。
そしてさらに上にいくと、心の部分が大事にされます。

白帯は自分のことで精一杯なのは仕方のないことです。
しかし上級になるにつれ、
後輩に気を配るなど他者への配慮ができるかどうかも大事な要素です。

審査には基本、ミット打ち、組手があります。
このそれぞれの種目に、心の部分での強さや配慮などを求めています。

例えばミット打ち審査での、ミットを持つ側の心構えもそうです。
相手が上手く突き蹴りできるよう、
合格できるよう考えて持ってあげられたかどうか。

組手審査の場合は、技のうまさよりも、
互いが切磋琢磨できたかどうかが重要です。

思いっきり殴れば、殴り返されます。
だから痛いのがいやな人は軽く当ててしまうのです。
そこをあえて、殴り返されることを承知の上で、覚悟の上で、
ガツンと思いっ切りなぐり合う、切磋琢磨ができたかどうか。
そういう心の部分が大事にされるのです。

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『かっこ悪く終わるのがかっこいい』98

2011-08-06

思いっ切りなぐり返されることを承知で、思いっ切りなぐる。
ガツンと思いっ切りなぐり合う。
切磋琢磨ができたかどうか。
そういう心の部分が大事にされます。

また、それだけでなく、いや、それ以上に、
いかに非合理的に痩せ我慢をしていたかということもとても大事です。

審査では、要領の「悪さ」が評価されます。
要領よくやる、ということはつまり前半はセーブして、
力を温存しておくことです。
終盤はガス欠にならずに済みますのでかっこよく終われそうです。

でも実はかっこ悪い。
ここでのかっこいいは「かっこ悪く」終わることなんです。
終盤のことなど考えずに1試合目から、
ありったけの力で戦ったら、最後はフラフラ。

これが、もうキツくてキツくて堪りません。
そうなることは想像できているのに、それを敢えてやれるから凄いんです。

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『後輩に気を留めるてあげられる』99

2011-08-06

審査では次の出番まで正座して待機します。
その時でさえも、
後輩に気を留める配慮ができるのも素晴らしいこと。

ガードを上げよう!
いいぞ、ファイト!
などと、的確に、タイムリーに。

自分のことだけで精一杯な中で、
だけれども後輩を思い、気を留めてあげられる。
そんな先輩になることを求めたいですね。

審査が始まる前にみんなに質問しました。
強いだけでいいと思う?みんなに何を求めていると思う?と。
おそらく、子どもなりに理解して、
その答えが今回の頑張りにつながったと思っています。
この質問が叱咤、激励となって、彼らを奮い立たせたのかもしれません。
合否の結果は別にして、この度の審査はみな頑張りました。
いつにも増して全力を出しました。

階級の上位者が受ける年少審査の最終日。
上の級になるにしたがって、応援に来る親御さんが減ってきます。
もっともっと親御さんに応援に来てもらいたかった。
感動したはずです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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『ランキングとは違う空手の番付』100

2011-08-07

審査は、自分自身の力量が修練の成果としてどれだけ向上したかを、
客観的に評価してもらうものです。
段級位は、その審査で評価した力量を数字に表した階級です。

よく、順位付けにランキングということばを聞きます。
キックボクシングの世界でも「ランキング○位」などといって、
ランキングを使います。

ランキングは実力がものを言います。
ルールの範囲内であれば、腕ひとつでのし上がることができます。
つまり、いぶし銀の技を繰出す老練な選手であっても、
新進気鋭の若手選手に負ければその座を譲ります。

ひるがえって大相撲の横綱はどうでしょう。
横綱になるには、力量だけでなく、
品格も兼ね備えていなければならないとされています。

横綱推挙状にこうあります。
品格力量抜群に付き横綱に推挙す

横綱は絶対的な地位です。
それだけに責任がとても重くのしかかります。
成績が振るわなければ大関との入れ替えはありませんが、
しかし引退を決意しなければなりません。

空手の段級位は、ランキングとも、大相撲の番付とも違います。
しかし、その地位でいることの重みを感じて人格を磨こうとする姿勢は、
大相撲に似ています。

ゆえに、建武館では力量や才覚だけでにとらわれず、
上位者は人格も審査の判断基準にしています。

人格というとたいそうなことに聞こえますが。
強いだけではだめ、ということです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。

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『審査も加点方式で』101

2011-08-08

ふだんの稽古で心がけたいのが「美点凝視」です。
それは審査のときも同様です。

良いところを見てあげよう、見逃すまいと思っていると、
良い点がクローズアップされます。
良い点が目につくようになります。

“人のいいところを見てあげる。すると、その人を好きになる”

当然、指導者からは褒め言葉が出ます。
子どもは喜びます。
子どもはふだんあまり褒めてもらうことも少ないので、
認められると嬉しくなります。

自分を肯定的に見てくれると、良いことにがんばる。
良いことが増えて、悪いことが少なくなる。
結果的にその子はよくなる。

とはいえ子どもだから、悪さもします。
だから叱ることも必要です。
しかし互いの信頼関係がないうちに叱ると反発します。
そして余計に悪さをします。

ところが良い点を見てくれている人になら違います。
目に余る行為はビシッと言っても反発せずに聞けるようになるんです。
これが信頼関係です。
とても良いスパイラル。
人間関係が良好なしるしです。

人のいいところを見ることは、
何も先生と生徒、指導員と道場生の間だけではありません。
大人同士、会社でも必要な所作です。

自信と余裕のある人は、人の美点を認めることができます。
反対に、自信と余裕のない人は、人の美点を拒絶します。

血眼になって悪点を探し出します。
そして否定して溜飲を下げます。
なぜならそれを認めてしまうと、
自分が否定されていると思ってしまうからです。

しかし、人を否定しているうちは何の進歩もありません。
自分が変わらなくて済むのですから。
そういった、自分を変えよう、
向上させようという人がいる道場や会社では、人が育ちます。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『減点主義の悪習を断ち切るには先入観を捨てること』102

2011-08-09

減点主義が習慣になると、つい粗探しがクセになってしまいます。
それが高じると、人の落ち度ばかり目についてしまいます。

そもそも人間は、生き残る上で“疑る能力”を備えました。
例えば、
「豪雨のあとは水嵩が増すかもしれないので川に近寄らないようにしよう」
といった具合です。

しかし、それが度を過ぎると一方的なものの見方しかできなくなり、
ネガティブな思考に陥ります。
さらに深みにはまると先入観や偏見が生まれます。

学校の友人関係、会社の同僚、近隣しかり。
それは人間関係を崩すもとになるのでとても厄介です。

そういう時は一度立ち止まって、
“自分自身はどうなの?”
とわが身を振り返るようにします。
そして、先入観や偏見を思い切って捨てて、
改めて新鮮な目で確認するのです。

すると、今まで決めつけていたものが、
実はそうではなかったと気づくかもしれません。
そうなると、おもしろいように、その人に親しみを持つようになります。
不思議です。

減点主義はよくないというお話でした。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『鏡の法則』104

2011-09-14


中学3年生になる道場生のお母さんが本を貸してくださいました。
私が一番受けたいココロの授業。
そして、鏡の法則、というベストセラー本です。
学校である講演会があったそうで、その際に購入したと聞きました。

鏡の法則は数年前に出版されて知っていましたが、
まだ読んだことはありませんでした。
さっそく読ませてもらいました。

この本の帯に石井琢朗さんのコメントがあります。
「子どもで悩みのあるお父さんやお母さん、また人間関係に悩みがある方にぜひ読んでもらいたい」

読んでみて私もそう思いました。
家族の中でけんかや言い争いをしている人も読んでください。

親と子。
きょうだい。
親同士。
それぞれが信頼と絆で結ばれることが大事です。
信じ合おうよ。最後に残るのは家族なんだから。

人は悩みが尽きません。
だからこそ、家庭がいつも心休まる場所になることを願いつつ。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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板橋区にある地元密着の空手道場で“ガマンを売る”空手家
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『指導員との組手で切磋琢磨の大切さ再実感』105

2011-09-02

先日、中学1年生の男の子が初段の審査を受けました。
昇段審査の度に私は、
『切磋琢磨』と書いた紙を正面に貼ることにしています。
力を抜いた組手をしてもお互い強くならないし、
そんなことでは黒帯としてどんなものかと思うからです。
今回はあえて貼らず、口頭で切磋琢磨の必要性を説くことにしました。

私はこう話しました。
「一か月ほど前に、指導員3人と私とで組手をしました。ローテーションしながら何十回も延々とやりました。もちろん、いつもみんなに“切磋琢磨せよ”と話している通り、気も力も抜かずにやったつもりでした。
ところが翌日、右の上腕が痛くなりました。筋肉痛になっていたのです。ふだん組手をしても筋肉痛などならないのに、です。
ということは、みんなにはどんなときも力を抜くな、全力でやれ、なんて言っておきながら実は自分はふだん力を抜いていたわけです。そんな有言不実行の自分を恥じ、反省しました。
反省するとともに、本気を出させてくれる相手はありがたい存在であるとも改めて感じました。全力でぶつかっても、それを受けてくれる相手がいるからこそ自分を追い込む練習ができる。これこそが切磋琢磨なんだと。
また、そういう練習を積むと“あれだけやったのだから他は何も恐くない”と思えるようになります。だから、全力でぶつかれる相手は、自分にとってとても大事な人なのです」

この指導員たちとの組手で、切磋琢磨の大切さを改めて実感できました。
それは、私の信念をさらに太く堅固なものにさせてくれたのでした。
指導員たちにとってみれば、有難迷惑だったかもしれませんが…!

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『殴り合ってもひびの入らぬ関係を』106

2011-09-03

年少部の昇段審査のとき、子供たちにこういうことも話しました。
「人と人とのつながりが、とてももろくなった気がします。いままで親友だと思っていた人が、一夜にして、というより一瞬にして仲が悪くなることがあります。たった一言で、たった一文字で、不信感を抱いてしまうのです。だからこそ、とことん信じあえる仲間を作ってほしい」

それだけの人間関係だったのだと、
あきらめれば済むことなのかもしれません。
しかしあきらめるには余りにも寂しい話です。

人との会話で、最近気にかかることがあります。
それは、
自分が傷つきたくないから先回りして相手を傷つけるということです。

若者だけではありません。
なにか、世の中全体が、そのような
“心の病”のようになっているように思えます。

何も言わなくてもわかり合っている。
互いの凄いところを認め合う。
尊敬しあう。
ブレない。

外野から偽りの情報たとえば、
「あいつはこんな奴だよ」
「あいつお前の悪口言ってたよ」
と聞いても、
「そんなわけないだろ」
と一蹴してしまうような熱く素晴らしい関係。

思いっきり殴り合ってもまったく関係にひびが入らない。
そんな信じあえる仲間を作ってほしいと思って、
審査のときにお話ししたのでした。

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『要領のよさだけで生きてはいけない』107

2011-09-04

今日も審査のときのお話をします。
昇段審査は組手のみを行います。
前半は全員でローテーション、後半は一対一で対戦するという内容です。
全員ローテーションでは、
審査を受けない者同士で組手をする場合もでてきます。

審査を受けない者はほとんど注目されません。
応援に来た人達の視線は主役である受審者に向けられるからです。

そこで、こういう話をしました。
「みんなは脇役です。周りの人たちは注目していないから手を抜こうと思えば簡単に抜けられます。だから受審者との対戦の番が回ってきたら本気を出せばいい。あとの組手は適当に流して体力温存すればいい。それが一番要領いいやり方だ。
しかし、そうしない。脇役でも手を抜かない。人が注目していなくてもやる。それが無駄とは思わない……。みんなは、そっちの道を選んでください。将来、必ずよくなります」

審査を受けない者が、受ける者と同じ心もちでやるなんて無理難題です。
だけど、隣でガンガンやっていればその声や音や振動が伝わって否応なくモチベーションが上がります。
隣でのガンガン、が“がんばれよ!”“絶対に受かれよ!”というエールに聞こえてきます。

他人の審査なのだけれど、受かろうが受かるまいが自分にとって重要なものではないけれど。
ガンガンやれば痛いし辛いし、疲れるだけだけど。
それでも仲間のためにやる。

要領のよさだけで生きていって地道な努力を避けるとどうなるだろう。
人目につかないものは手抜きをしてしまうとどうなるだろう。
自分に都合のいいことは引き受けるが割に合わないと思ったら断るのはどうだろう。

信用とか信頼は目に見えないものです。
人が見てようがいまいが、
ブレない行いを続けていると心に自信と信念が生まれます。
嫌なことでも損だと思ってもそこであえてやるから信用がついてきます。

そういう行いをしていれば、
いずれその人の徳となって備わるものだと思っています。
そういう人になってもらいたくて、子ども達にお話をしました。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『誰かのために尽くせるような人に』108

2011-09-05

中1の男の子が受けた昇段審査。
この日のために中3の黒帯先輩が組手の相手として来てくれました。

受験勉強で道場に来ることが極端に減ります。
部活も終わったので運動不足になり体力も落ちるころです。
それでも後輩の晴れの舞台の日となれば、
用事を調整して駆け付けてくれます。

同級生も部活などもあったでしょうがしっかり来ていました。
やはり、仲間の受審、合格を心の中から望んでいるからでしょう。

このような流れはここ数年、順送りで続いております。
これからも、誰かのために尽くせるような人になってもらいたいと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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『出し切る 晒す』109

2011-09-06

出し切る、晒す。
こんな組手ができる人はとても勇気のある人だと思います。

出し切れば限界の姿を人前に晒しだします。
限界の姿は、ある人からみれば無様に映るかもしれません。
晒す、ということの勇気。

先輩とやる時は常に全力で。
遠慮するのは先輩をいたわっていることになる。
先輩に遠慮は無用。
先輩も無様な姿を晒せばよいのです。

出し惜しみをしないほうがいいもうひとつの理由。
それは、言い訳を作れるから。

ホントはもっとできた。
奴はたいしかことない。

そのように、あとから言い訳が作れるから。
言い訳なんて言えなくなるほど限界の姿を晒しだすことが大事。
限界の姿は、ある人からみれば実に爽快にカッコよく映るものです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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『指導員との組手の日』110

2011-09-07

現在、子ども達に指導をしているのは3人の指導員です。
私はすでに子どもの指導から一線を引いていますので、
彼らを通じて「技と心」を伝えてもらっています。

技の教え方については特に定めていません。
彼らは素晴らしい技術の持ち主ですし、
ましてや技は変化するものだからです。

ただし、心の部分は三者三様ではいけません。
これだけは間違えずに伝えてもらいたいと強く思っています。
とはいえみな心についても良く理解してくれているので安心しています。

しかし以前のように3人と稽古をすることがなくなりました。
やはりデスクでの会話だけですと阿吽の呼吸というものが少し鈍ります。
体を動かさないと運動神経が鈍ってくるのと似ていますね。

そこで「久しぶりにやろう」と4人で稽古をすることにしました。
自分のふがいなさを感じた、あの日の組手稽古です。

実は、この日は奇しくも本澤が私を説得して心が動いたのと同じ日でした。
おやじの誕生日でもありました。

心のメッセージを指導員に伝えようとしたこの日。
偶然ではないのだと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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『転倒して不自由な生活に』111

2011-08-24

おふくろの足腰を強くさせる目的で受講した、
介護予防サポーター養成講座。
その内容は、転倒予防トレーニング、低栄養予防プログラム、
音読と計算、爪・足のケアなど多彩。

特に転倒予防トレーニングはおふくろの足腰を強化させるために、
とても参考になるものでした。
講座を修了し介護予防サポーターの認定をいただき、
さっそくおふくろに施すことにしました。

しかし、結局、この講座を役立てることができませんでした。
というのも、運動習慣のないおふくろは、
どうしても体を動かすことを億劫がってしまったからです。

その後も何度か運動を勧める話はするのですが、
また、おふくろ自身、大切さもわかっているのですが…。
頑張りすぎて体が痛くなった記憶だけが残り、
運動するとよけい体をこわすと想像してしまうのです。

運動を勧める話ができないまま時だけが過ぎてしまいました……。
おふくろの足は弱まる一方でした。
そして、やってしまいました。
2か月ほど前、おふくろが部屋で足を滑らせて転倒してしまったのです。

幸いにも骨には異常がありませんでしたが、
腰を痛めて歩くことがさらに困難になってしまいました。
気ままに外に出歩くことすらできなくなり、
とても不自由な思いをしています。

主治医からは、運動ができなくなることが起因する静脈の詰まり、
血栓を注意されました。
その悪化を防ぐために弾性ストッキングを履き続けなければなりません。

心筋梗塞で倒れたおふくろにとって、血栓が増えることは命取りです。
私は病院から自宅までの車中で、
この時とばかりに運動の大切さを改めておふくろに話しました。

数日後、おふくろから「どんな感じで運動すればいいのかな…」
おふくろ、運動することに前向きになったのかな。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員 介護予防サポーター
板橋区にある地元密着の空手道場で“ガマンを売る”空手家
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『自立した生活ができるために』112

2011-08-26

筋肉は使わないと弱まります。
関節も動かさないでいると硬くなります。

以前もお話ししましたが、義母は脳梗塞で意識を失いました。
当然ながら体は動かせません。
すると1週間も経たず、見る間に筋肉が衰えていきました。

特にふくらはぎは触るとまるで張りがなく、
フニャフニャになってしまいました。
人の筋肉というものは、
使わないとこれほどまでに簡単に衰えるのかと驚かされました。

義母の例は極端ですが、おふくろも自立して歩いてはいるものの、
やはり触ってみると張りがありません。
日常の生活だけでは不十分なのです。
筋肉は刺激を受けないので、衰える一方です。

おふくろの場合は心筋梗塞の心配もあります。
体を動かさないでいると血行が悪くなり、
足の静脈に血栓という血の塊ができてしまいます。

血栓ができた状態で体を動かすと、
その血栓が静脈を通って肺まで流れこみます。
そして血管に詰まって呼吸困難となることもあり、、
最悪の場合は死に至るのです。

やはり介助なしにいつまでも自立した生活ができることを、
誰もが望んでいます。
ましてや怪我や病気で人生を縮めたくはありません。

健康なうちに、元気なうちに取り組みたいものです。
自分のためにも。
家族のためにも。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員 介護予防サポーター
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『ストレス歓迎』113

2011-08-27

適度なストレスはとても体にいいものです。
心のストレスのことではありません。

例えばどくだみやハーブにある微量の毒素という「ストレス」を飲むことで、
美容と健康に効果が出ます。
カフェインが含まれるコーヒーなども、
多量でなければ利尿作用や眠気覚ましに効果があります。

ワクチンは病原体という「ストレス」をわざと体に投与します。
それによって感染症にかかりにくい丈夫な体にさせます。

地球上には重力がありますので、自分の体重が足腰にのしかかります。
これがちょうどバーベルの代わりとなって、
足腰のウエイトトレーニングとなっているのです。

私たちは、この重力という「ストレス」によって、
自然と鍛えられているわけです。
無重力にいる宇宙飛行士の筋力が減衰するのも、
なんとなくわかりますね。

しかし、ただ重力の重みだけでは足りません。
筋力がつくことよりも、衰えるスピードの方が速いからです。

だから筋トレをするのです。
筋トレで適度な「ストレス」を与えるのです。
筋肉というのは、そのストレスに対抗しようとして増強されるものなのです。

筋肉だけでなく、骨もまた、丈夫になるためにストレスを歓迎しています。
骨はおもしろいことに、
力の衝撃を受けるとカルシウムが付着するという特性があります。

そして、衝撃が強ければ強いほど、
カルシウムの量が増えてより強くなるというのです。
ということは、歩くよりジョギング、ジョギングよりサッカー、
サッカーよりラグビー…という感じです。

こうしてみると、ストレスは適度であれば体にとてもいいことがわかります。
したがって、ストレス歓迎、なのです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
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『ロコモ対策 中村耕三氏』114

2011-08-28

「ロコモ」対策 国民目標に
50代 迫る足腰の危機


そんな見出しのコラムを読売新聞(2011.8.24付)で見つけました。
国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局長で元東大教授の、
中村耕三氏の提言でした。

ここには私の考える方向性が文字で表現されていましたので、
要約して以下にまとめてみました。
長文でしかもお堅い内容なのですみませんが、
ちょっとだけおつきあいください。

介護を必要とする人(要介護者)が急増している。介護サービスを受けている人は450万人を超えた。少子化とあいまって20年後には高齢化率40.5%に達すると予測され、その対策は喫緊の課題だ。

要介護になる原因は、転倒・骨折、関節疾患など人間の運動を担う器官の障害が2割強を占める。脳血管障害、認知症とともに主要因となっているのだ。

骨や関節の病気や怪我が原因で歩行が困難になる疾患が、50歳以降に急増する。しかし実は40歳代から自覚症状なく進行しており、検査をして異常が見つかるのが4700万人も。

50歳を過ぎた頃から筋力の衰えが加わり、ひそかに進行していたものが歩行障害として表れてくるのだ。一般に知られていないことだが、歩速が遅いなど歩く力が低下している人はその後要介護になりやすい。

深刻なのは、4700万という膨大な数の人が、ゆくゆくは歩行障害となり要介護になりうるという現実だ。そこで、筋、骨格など運動を担う器官の「耐用年数」を伸ばすことが不可欠になったわけだ。

これまでは、要介護を食い止めるためにメタボ対策がとられ、内臓の働きを改善する取り組みがなされた。しかし、運動を担う器官(運動器という)自体に目を向けて対策を行うことに関心がなかった。

そこで、日本整形外科学会が運動器の障害対策として「ロコモティブシンドローム」の名で提唱した。訳して運動器症候群、略して“ロコモ”は、運動器の障害による要介護状態や要介護リスクの高い状態だ。

ロコモ対策は、片足立ちや、椅子を使った立ち座りなど簡単な運動で、自宅でもできる。運動器は内臓と違い自ら動かす器官なので改善に向けた取り組みが容易で高齢でも効果が期待できる。

だが、個人の意志だけでは運動を続けるのは難しい。家族の声かけや体操教室など、個人の努力を後押しすることが必要だ。ロコモ対策を国民共通の目標に。


……少し長くなりましたが、おおよそこんな内容でした。
私も同感です。
いつまでも生きがいや楽しみが見つけられるような人生を、
送りたいと願っている一人です。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『足腰の衰えをセルフチェック』115

2011-08-30

50歳を過ぎると、なんと7割以上が、
運動器に障害を起こす可能性があるようです。
介護予防の見地からすれば、
ならば40歳代から何らかのかたちで取り組みを始めていればよいのです。

ところが、そう思う通りにはいきませんよね。
筋力が目に見えて衰えはじめて、やっと気づくものです。

だから、“このままではまずい”と本人が気づくことが出発点になるのでしょう。
そこで簡単にセルフチェックできるものがあります。
それが以下の7項目ですのでやってみてください。

① 家の中でつまずいたり滑ったりする
② 階段を上るのに手すりが必要である
③ 15分くらい続けて歩くことができない
④ 横断歩道を青信号で渡りきれない
⑤  片脚立ちで靴下がはけなくなった
⑥ 2kg程度(1リットルの牛乳パック2個程度)の買い物をして持ち帰るのが困難である
⑦ 家のやや重い仕事が困難である

いかがでしたか?
もしひとつでも当てはまれば運動器が衰えているサインだそうです。
実は、ここだけの話ですが、私はここ数週間、①が多くて参っています(悩)。

何か月か前に1度、いつもの朝の走りの最中に、
平坦な車道でつまずいてゴロンと一回転しました。
前方から走り寄る自家用車のすれ違いざま、
本当にぴったりのタイミングでその真横で転倒しました。

筋力の衰えなのか、体調がすぐれていなかったせいのかはわかりませんが。
いずれにせよ、トレーニングを怠るな、ちょっと警戒せよ、
というシグナルだと受け止めています。

あなたも、“私はまだまだ大丈夫”と安心していませんか?
遅かったと、あとで後悔するよりも、今から予防に心がけましょう。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『身近な目標はきんさん、ぎんさんです』116

2011-08-31

おふくろに足腰の運動を促したけれど、
私個人の押しだけではヤル気にさせられなかったこと。
女房のおっかさんのふくらはぎの張りが、
瞬く間になくなったのをまのあたりにしたこと。
ふたりの母親から受けたこの経験を無駄にはしたくないと思っていました。

私には上級指導員や介護予防サポーター、
そして空手の指導で培ったノウハウがあります。

おふくろ達と同世代の人がいつまでも元気に暮らせるよう、
このノウハウを生かせないものか。

そんな思いから、“トレーニングコースを作ろう”と意を決しました。
足腰のトレーニングはとても大切ですのでこれをメインテーマにして。
おふくろに元気になってもらう気持ちで、
来ていただく方々に接していければなぁと考えたのです。

身近な目標はきんざん、ぎんさんです。
100歳を超えてから筋トレを始めて実際にその効果を立証しました。
いつから始めても遅すぎるということはない、
ということを証明してくれたのです。

9月19日は敬老の日ですので、その日までに体験講座を開きたいですね!
空手の子ども達が、おじいちゃん、おばあちゃんに、
敬老の日のプレゼントとして体験券(?)を贈る。
なんていいじゃないですか!

指導することで、誰かが元気になる。
これが指導者冥利というものなんです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『背中を押されて決断したシニアクラス』117

2011-09-15

実は、シニア世代のクラス作りに背中を押してくれた方がいます。
同じ板橋で工業用副資材の販売会社を経営されている方でした。
どんな人にも歯に衣着せぬところがなんとなくおやじに似て、
初対面から親近感を持っていました。

この人なら、悩み事も相談相手になってもらえるのでは、と思いました。
そこである日、道場運営について相談を持ちかけたところ、
休日にもかかわらず親身に聴いてくれました。
その時に、このシニア世代を対象にしてはどうかと提案してくれたのです。

もともと私の頭の中には、
おふくろにどうにか運動の習慣をつけさせたいと思っていたので好機でした。

あの日に提案していただいたことが一押しとなってここに至ったことに、
とても感謝しております。

そのおかげもあって、ようやく明日、
そのシニアクラスの体験会をする運びとなりました。
ありがとうございました。

シニアクラスの名前を
「アンチエイジングトレーニング」略称アントレとしました。
ちょっとわかりづらい名称ですよね。

はじめはアクティブシニアにしようかと思いましたが、
ありきたりですからね。

アンチエイジングという言葉が10年ほど前から使われ始めました。
しかし高級化粧品を扱う美容業界などが主に使っていて、
スポーツ業界ではあまり聞きません。

アンチエイジングは「抗老化」。
老化に対抗する、戦うわけですからまさに我々にピッタリです。

60歳代の方は、定年を迎えてからさらに、
20年、30年も健康でい続ける必要があるわけですね。
それならば、補正具などに頼らない、
生身の体を鍛え上げることが何より大事ですよね。

足腰の筋力トレーニングはいつまでも生活を自立するため、
社会的交流を保つために必要です。
空手の道場で行いますので、少し敷居が高いかもしれませんが、
軽い気持ちで来てください。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『60歳からの再生』118

2011-09-16

今日はアンチエイジングトレーニングの体験日。

アンチエイジングは「抗老化」。
老化に対抗する。
つまり逆らって、戦うわけです。
老いる自分との戦いですからまさに我々にピッタリです。

アンチエイジングトレーニング。
サブタイトルにあります。
いつまでもカッコよく、老いを寄せ付けない、60歳からのチャレンジ!

トレーニングを通して、
いつまでもカッコよく、
チャレンジを続ける。
そういう思いが込められています。

トレーニングといっても今や若者だけの専有物ではなくなりました。
まだまだ若い者には負けていられません。
若者と交じってついていけるだけの肉体と精神。
…そこで、「60歳からの再生」!

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『アンチエイジングトレーニング体験会』119

2011-09-17


アンチエイジングトレーニング(アントレ)の体験会を開きました。
平日の午前中にもかかわらず集まっていただいた皆さん、
ありがとうございました。

前半はアントレについての説明、後半は実技という二部構成にしました。
説明の要旨をまとめてみました。

当初は名称をアクティブシニアと考えていましたが老化に対抗する、自分と戦うというイメージが道場にピッタリなのでアンチエイジングに決めました。おふくろのように運動習慣のない人も継続できるようグループ活動の場を道場に作ろうと、板橋区の広報誌で見つけた介護予防サポーターの資格もとりました。

適度なストレスは筋肉強化によいことは知識と経験でわかっています。足腰は第二の心臓といわれその強化の必要性は、きんさんぎんさんトレーニング事例でも明確です。弾性ストッキングや爪先を挙げる靴下に頼らなくてもいい体を作れば、この先20年、30年も自立した生活ができます。

30歳を過ぎると毎年1%ずつ筋肉がなくなると言われています。体が動ける今からアントレ始めましょう!

皆さん、はじめは神妙な面持ちで私の話を聞いていましたが、
徐々にリラックスしてきました。

後半は実技です。
立つ・歩く・座る、といった日常生活に必要な筋肉を中心に運動しました。
人と比べたり頑張りすぎたりしないことが肝心です。

まずはストレッチ。筋肉に“これから体を動かす”とスイッチを入れます。
続いて軽い筋トレです。
つま先立ちに使う筋肉や、肩より高い所の物をとる筋肉をトレーニング。

そして筋トレとバランス&空手の動作に移りました。
ひざを上げたり、片脚を横や後ろに上げたりする動作を、
空手道場らしくアレンジします。
片脚を上げて「ひざ蹴り」「横蹴り」「後ろ蹴り」のような動作を、
ゆっくりペースで動かします。
続いて、空手の「寄り足」を前後、左右にゆったりリズムで有酸素運動。
最後にストレッチをして疲れた筋肉を癒して終了です。

すべてが初めてですので戸惑うことばかりでした。
内心は心細かったですね。
はじまりのギリギリまで準備に追われ、慌てる場面もありました。
が、みんなの協力をえて体験会を無事、終えることができました。

今回の反省をふまえて検証し、よりよいクラス作りに励みます。
これからが本番です。
心細いときに手を差し伸べてくれる人はありがたいものですね。
感謝です。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『ヨットマン斉藤実さん77歳 8度目世界一周』120

2011-09-18

ヨットマン 斉藤実さん 日本空手道建武館.jpg
ヨットマンの斉藤実さんが単独世界一周の航海を成功させ、
3年ぶりに横浜に帰港しました。

斉藤さんは77歳。
39歳でセーリングをはじめ、57歳で単独世界一周に成功しました。

その後も成功を重ね、71歳の7度目には
「最高齢」「最多」のギネス記録を樹立した人です。
今回は、そのギネス記録を自ら更新するための8度目の挑戦だったのです。

この挑戦には、「単独」「最高齢」「最多」だけでなく
「西回り」という条件を加えました。

「西回り」というのは地球の自転に逆らって航行するもののようです。
風も向かい、潮も向かいから来るので抵抗となり、
「東回り」に比べとても過酷なルートだそうです。

歳を加えるということは、それだけ体力、気力が衰えるということです。
にもかかわらず、さらに過酷な「西回り」という条件を加えるところが、
挑戦者たる所以です。

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『自分との重ね合わせから』121

こういうニュースに、素晴らしいなと自然に目が向くようになりました。
三浦雄一郎さんのエベレスト登頂にしても同じです。

若い頃よりもはるかにその感激ぶりが大きくなりました。
そしてまた、最近、少し涙もろくなった気がします。
いまだにトイレの神様の終盤になると泣けてきます。
悲喜について敏感になった気がします。なぜでしょうか。

それは経験だと思います。
自分の経験と重ね合わせて
「この人もこう思っているのかもしれないな」
と想像できるようになります。

例えば。
子どもの不慮の事故を聞いたとします。

若い頃ならかわいそうだなとは思うけれど、
それ以上の感情はわきませんでした。

だけど今は親の無念を思うと胸が張り裂けそうになることもあります。
それは、私に子どもができて、
その親と自分を重ね合わせるからだと思います。

もしそれが自分の子どもだったらと、
痛みがリアルに想像できるからだと思います。

斉藤実さんのヨットによる単独世界一周のニュースについてはどうでしょう。
偉業だ、とても辛かったろう、寂しかったろうと、
今の私でも驚きのニュースです。

しかしおそらく、同じ年代に達した私が聞いた時の方が、
もっとリアルに驚嘆したことでしょう。

徳光和夫の涙腺がゆるいのも、
ようやく最近になってわかるような気がします。
年のせいではありませんよ!
言っておきますが。

だけど…
斉藤さんや三浦さんに感動するのは、やっぱり年のせいなのかな。

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『敬老の日』122

2011-09-19

今日は敬老の日。

敬老、というといつも思い起こすことがあります。
それは私が小学生の時の、本当にささいな、たわいもない話です。

毎年、夏になるときまって過ごした場所があります。
千葉県勝浦市興津にある守谷海岸というところです。

おやじが景気良かった頃、
海岸近くにある木造平屋の一軒家を借りて過ごしていました。

道場合宿でも使いました。
少年野球チームの合宿でも、町内会や社員の保養としても使いました。
いつも、大勢の人達が寝泊りする家でした。

その家にはちっちゃな庭があり、その端に掘っ建て小屋がありました。
この小屋は、大家さんが魚網を編んだり直したりする仕事場でした。

しらがの痩せたおじいちゃんが、
あぐらをかいてコップ酒を口につけながら網を編んでいました。

いつも大勢の人達でにぎわう家でも、
たまにおやじと二人きりになるときがあります。

静かにしていると、遠くから、
波の音や海辺で遊ぶ人たちの声もかすかに聞こえてきます。

おやじと縁側にいるとき、
おじいちゃんが網を直しにそろりと小屋に入っていきました。

少し経つと、おやじは、
台所からコップに満たした日本酒を持ってきました。

おじいちゃんに持っていって。
おやじはそう言って私に渡しました。

私は、コップの酒がこぼれないよう、慎重に、慎重に、
小屋にいるおじいちゃんに手渡しました。

無口なおじいちゃんは、ありがとうと言う代わりに、
にっこり笑ってくれました。

たったそれだけの話です。
たったそれだけなんだけど、
お年寄りをいたわり、慕う心というものが芽生えました。

記憶にはないけれど、おやじは、
老人をいたわれよ、とか大切にしろよ、などと一切言わなかったと思います。

敬老を大上段に構えなくても、
親が子どもに年長者をうやまう気持ちを見せてるだけで心は備わります。

もしかしたら、おやじは、
死んでしまった自分の父親とおじいちゃんを重ねて見ていたのかもしれません。
優しく孝行してあげられなかった後悔から、
おじいちゃんに優しく接していたのもあったでしょう。

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『三浦雄一郎さん現役引退で狭心症』123

2011-09-20

三浦雄一郎さんのエベレスト登頂の話を出しました。
今回はその三浦さんについて少しお話します。

ご存知の方も多いと思いますが三浦雄一郎さんは、
プロスキーヤーであり、冒険家であり、登山家です。
2008年に75歳で2度のエベレスト登頂に成功したニュースは、
まだ記憶に新しいところです。

私が唸ったのはその5年前、
アルプスのモンブラン氷河を親子3代で走破した映像を見た時でした。
お父さんの敬三さんがまた凄い。
まさに父子鷹なのです。

三浦雄一郎さんは、
1962年イタリアで滑降世界最高速度記録の樹立を皮切りに活躍します。
66年に富士山直滑降、70年にはエベレスト滑降を達成します。
その後、85年までに世界七大陸最高峰のスキー滑降を成し遂げてしまいました。

しかし90年代に入ると、その挑戦が途絶えます。
その訳は、三浦さん自身の中で、
冒険はもうやりつくしたと終止符をうってしまったからでした。

60歳となった三浦さんは、クラーク記念国際高等学校の校長に就任します。
地方講演で飛び回り、食事や飲み会、そしてゴルフ……。
環境がガラリと変わりました。

現役の頃は二日酔いしても翌朝は5時半に起きて走り込んでいました。
ところが、もう現役でないのだからしんどいことをやる必要がないと、
思うようになってしまいました。

それからというもの、三浦さんは自身の体に無頓着となり、
トレーニングや食事を節制しなくなりました。

その結果、狭心症の症状があらわれます。
検査の結果、高血圧に高脂血症、糖尿病の前兆も出てしまいました。
三浦さん、68歳の頃です。

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『父子鷹 三浦敬三 雄一郎』124

2011-09-21

三浦雄一郎さんの父親である敬三さんがまた途轍もない冒険スキーヤーです。
「白寿になったらモンブラン氷河を滑走する」
と言い出しました。
おそらく97歳頃のことだと思います。

敬三さんは自らそう計画を立てて黙々とトレーニングを始めたそうです。
白寿といえば99歳です。

三浦さんはそんな父親の姿をみて、失いかけていたものに気付きました。
それは、夢中になって目標に向かってチャレンジする気持ちです。

クラーク記念国際高等学校の校長に就任した三浦さんは、
お付き合いが多くなりました。
自分のことよりも公のことに時間を割かなければなりません。
果敢に挑戦することは無謀な行為となります。
なぜなら自分一人の身ではなくなるからです。
どうしても社会的地位に就いたり責任ある立場になったりすると、
考えを変えざるを得ないのです。

ところがやはり、リスクを避けてばかりいては、
人間が小さくなってしまいます。
99歳になってまでも、敬三さんは、
そんなかっこいい生き方を子どもに伝えてくれたのでした。

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『あくなきチャレンジ 80歳でエベレスト登頂目指す』125

2011-09-22

三浦敬三 雄一郎 父子鷹 日本空手道建武館.jpg
三浦雄一郎さんは不摂生がたたり、
狭心症、高血圧、高脂血症、糖尿病寸前となってしまいました。
さすがの三浦さんも死ぬかと思ったそうです。

「どうせ死ぬならエベレストで死のう」
病気のお陰で目標ができたとおどけていました。
そして「70歳でエベレスト登頂する」という目標を立てたのでした。

これまでは、夜や休日は食事に飲み会に付き合いのゴルフでした。
しかし目標を立てると、がらりと行動が変わりました。
いつも足首に重りをつけ、
背中には10kg以上の重りを入れたナップサックを背負うのです。

どれもこれもみな、
エベレストに登頂する夢を実現しようと思うからこそできるのです。

そしてついに2003年、
70歳でエベレスト登頂を果たしました。

その日はあいにくの曇り空で、
よい景色を眺めることができなかったそうです。

すると三浦さんは、
「次は晴れたエベレストを制覇しよう」
と75歳で登頂という目標を決意したそうです。

それから5年後の2008年。
三浦さんはその決意通り、再度エベレスト登頂に成功しました。

頂上に立つと、北壁のチベット側ルートが見えたそうです。
これがまた美しかったらしい。

その時のコメントがまたいい。
「あそこを登って、もう一度来なきゃいかんな…」

2013年、80歳で3度目のエベレスト登頂を目標に、
新たにトレーニングを始めたそうです。

あくなきチャレンジ。
これが三浦さんの生き様なのだと思います。

病気のお陰で目標ができたとおどけた三浦さん。
しかし
「いくつになっても夢や目標が、人生には必要なのだと父親から教わった」
とも語っていました。
やはり触発されたのは父親の敬三さんの後ろ姿に違いありません。

草食系は非行動的で失敗を恐れる者が多い、と言われています。
何も草食系に限ったことではありません。
若者の多くが「何をしていいのかわからない」と言います。

しかしそれは、何も行動しないからわからないだけです。
先読みしたり、悪い方に考えたりしていては何もできない。
まず行動してみることです。

うまいこといかなければ、失敗したら、また元に戻せばいい。
そうしないと、いつまでたっても変わらないのです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
コラムは毎日書いていますので、よろしければ明日もまた読んでみてください。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
財団法人日本体育協会公認上級指導員 介護予防サポーター
板橋区にある地元密着の空手道場で“ガマンを売る”空手家
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※『空手のこころ』は2010年9月~2012年9月にマイベストプロ東京で公開した『館長コラム』を転載したものですので、掲載している記述は執筆時点のものであり現況とは異なることもあります。

『組手で檄 わかりあえる同志を増やす』126

2011-10-04

“下がるな!こわがるな!”
“受けたらすぐ返せ!”

私は組手をしながら、ああしろ、こうしろと檄を飛ばします。
どちらかというと“自分に負けるな”的な内容がほとんどです。
テクニックについてほとんどしゃべっていませんね。

考えてみればおかしな指導でしょう?
組手でメッセージを伝えるのが私流なのです。

空手のいいところは、殴り合って蹴り合ってわかりあえるところです。
もちろん、すべての人が文句なしにわかりあえるとは限りません。
もしかしたら、
“どうしてこんな痛い目にあわなければならないんだろう?”
と思ってしまう人もいるかもしれませんね。

しかし、軽く優しく痛みもない組手では強くなれません。
ガツンと痛い思いをして、
それをはねのけているうちに逞しくなっていくものです。
そういうことがわかっている者同士だけが、少々手荒な組手もやりあえるのです。
“どうしてこんな…”と思っている人も、
いずれそのよさがわかるときが来ます。

だから私は、組手で檄を飛ばします。
檄を飛ばして、そのよさがわかる同志を増やしているのです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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篠田 剛 SHINODA Tsuyoshi 日本空手道建武館 館長
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『小さいことに目くじらを立てない 大らかな心で』127

2011-10-05

私たちはささいなことに目くじらを立てることがよくあります。
先日、久しぶりに親子で近くの遊園地に遊びに行きました。
そこにおじいさんと二人のお孫さんがいました。

お孫さんは見かけた顔。
よく見ると、元会員の女の子とその妹さんでした。
久しぶりに田舎から出てきたおじいちゃんに、
孫がねだって一緒に来たようです。

さて姉妹は体感ゲームをするしないで意見が分かれていました。
お姉ちゃんとしてはもうそういうゲームは卒業だと。
言っておきますが二人はとても仲の良い姉妹です。

様子をうかがいに来たおじいちゃんに、
虫の居所が悪い妹さんは顔をキッとしたそうです。

私の方にもどってきたおじいちゃん。
笑顔で、
「孫にキッとされました。その怒りを(体感)ゲームに向ければ勝てますね」

いちいち小さいことに目くじらを立てない、大らかな心。
見習わないといけないなぁと思いましたね。

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『まだ子ども、と思えば受容もできる』128

2011-10-06

最近はこころの悩みを抱えている人が増えてきました。
ストレスが過ぎると、気分が落ち込みやる気が湧かなくなってしまいます。

やる気のない人を見れば、
たいていはいい加減な人間だと思い憤ってしまうでしょう。

しかしそれは病気のせい。
怠慢ではないのです。

そういう病状を知っていれば感情をぶつけることもなくなり
「病気なのだから」と受容できます。

子どもについても同じです。
聞き分けがないと怒りたくなります。

だけどそういうときは、大人ではなくまだ
「子どもなのだから」と思えば受容できます。

そんな心の余裕が、ほしいですよね。
前回コラムに登場したご祖父様は、とても心に余裕がある方でした。

私のような凡人は、どうしてもささいなことに目くじらを立ててしまいます。
その度に“俺は小粒だなぁ”と反省ばかりです。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。
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『生きていることの幸せ』129

2011-10-07

息子のささいなことに目くじらを立ててしまう私がいます。
怒ったあとに、あぁ、また怒ってしまったと。
もっと大らかであらねばと、反省ばかりです。

怒られて眠りについた我が子を眺めて、
起きているうちに「さっきは怒って悪かった」と
言えばよかったのにと何度思ったことか。

小さい子の事故や死のニュースが流れます。
我が子のほっぺや手に触れて、温もりを感じたとき、

あぁ、生きている。

そんなとき、生きているだけで幸せに思います。
悪さをしたり、勉強の成績が悪かったりしても。

生きてさえいれば、そのほかを望むのは贅沢だと。
こういう瞬間、わたしは大らかな心の持ち主となるのでした。

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『おやじの立場になって知る自分の未熟さ』130

2011-10-08

大らかに接したい。
ささいなことに目くじらを立てない。

そうしようと思うのは、
おやじと過ごした17年の中で、ど突かれた記憶が一度もないからです。

学校でけんかして帰ってきても、
仲間と家の前で夜遅くまで駄弁っていても、

時には言いたいこともあったでしょうが、じっとこらえていました。
おやじは咎めることもなく、ひたすら私を信じてくれていました。
俺もおやじのように振る舞うぞと、心に誓ったものです。

やがて子どもができて自分がおやじになると、
それは容易いものではないと知りました。

自分の未熟さを知りました。
おやじの度量の大きさを知りました。

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『通りがかりの初老の女性』131

2011-10-18